05*空に恋した向日葵(1/4)
あの日を境に芥川くんは、飽きもせずあたしに構って来る。もちろん、大半は寝ているんだけど…移動教室の時には必ず隣の席に座るし、お昼も起きてる時は一緒に食べよー!と食堂に連れて行かれる感じだ。
それに加えて、向日くんもよく話し掛けてくるので今までのあたしの生活とはうって代わり、かなり賑やかである。
その結果、周りからの視線にビクビクする日々になっているんだけど…
「そないビクビクせんでも。まだ呼び出しとかされてへんのやろ?」
「さ、されてない…けど」
「それにこないジローに気に入られとる相手を呼び出したりはせんやろ」
「…前は、絶対に呼び出しされるって言ってなかった?」
「あん時は、まぁ…せやなぁ」
「え、なに?その意味深な感じ…」
「まぁ、気にせんとき。それにしても、前と比べると俺と話すんも慣れたもんやな」
…別に好きで慣れた訳じゃないです。
そんな事を言いながらクツクツと目を細めて笑う忍足くんにあえて心の中でそう言い返した。
元から普通に友達と話すのは好きだったし、別に無口って訳でもない。それにいくら、忍足くんと話すのが怖いからと言っても…さすがに話し掛けられたら無視は出来ないし。しかも忍足くんは、席が隣だし。
ちなみに今は、移動教室で芥川くんはあたしに寄り掛かりながら夢の中です。
「そろそろ授業終わりやし、ジローの事起こしたり」
「・・・・・」
「ちょ、そない嫌そうな顔せんでも」
「だって芥川くん寝起き悪いから嫌だよ」
「まぁ、せやなぁ。でも頼むわ」
「わかってて頼む忍足くんは、性格が悪いよね」
「せやけど、俺が起こすと寝起き悪いとかのレベルやなくなるやんか」
なら起こさずに置いていけばいいのに…とは、さすがに言えないので、相変わらずあたしに寄り掛かりながら寝ている芥川くんの肩を軽く揺すった。
しかし、全く起きる気配がない。さすが、寝たまま移動出来るだけの事はある。まぁ、それは忍足くんが腕を引いて行かないとならないけど。
でも、最近の芥川くんは忍足くんが腕を引いて連れて行こうとすると何故か凄く不機嫌そうに目を覚まして、色々と面倒臭い事になるのだ。
だから、最近の忍足くんはあたしに芥川くんを起こす様に頼んでくるわけで…
「ジローはよ起きんと、みょうじに置いてかれるで」
「・・っ!や、やだC〜!!」
「ホンマ、寝てたんか疑いたくなるわぁ」
「ん〜っ…なまえちゃん、俺のこと置いてくの?」
さっきまで揺すっても全く起きなかったのが嘘の様に目をパッチリと開けた芥川くんが今にも泣き出しそうな顔をして、あたしの顔を伺う様に首を傾げた。
正直、置いて行けばいいのに…とか思っていたが、口には出してないので言ってないよと言うとよかった〜!とパァッと芥川くんの顔が明るくなる。
本当に単純で子供みたいだ。
そしてそんな芥川くんに忍足くんが起きたならはよ行くでと声を掛けるとおっしーの嘘つき!と何故か怒られていた。
なんか最近、忍足くんが芥川くんに理不尽に怒られてる場面をよく目にする事が増えた気がする。
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