04*空に恋した向日葵(1/4)
そしてなんだかんだ、芥川くんはずっとあたしに寄り掛かって寝ていて、他の授業は膝掛けを抱き抱えながら机に突っ伏して寝ていた。
ちなみにお昼に友人に相談をしたらちょっと羨ましいなんて言いながらも、ファンクラブには気を付けてね!なんて言われて悲しくなった。
だけど、今日は特になにもなく放課後を迎える事が出来て少しだけホッとした。そしてあたしは、いつもの様に読書をしてから帰ろうと図書室へと向かった。
そして読み掛けの本を読み始める。もちろん、いつもあたしが座っている窓際の席だ。
チラリと窓の外を見るが今日は、忍足くんと向日くんが芥川くんを部活に連れて行ったので中庭には誰もいない…と思う。
しかし、普通ならそれが当たり前な事なのに何故かホッとした自分がいた。
そしてなんだかんだ、集中して本を読んでいていつの間にか下校時刻になっていて、足早に下駄箱へ向かった。
あ、そう言えば芥川くんに膝掛け貸しっぱなしだったなぁ。向日くんといい、忘れられてるのかな。
そんな事を思いながら薄暗い道を歩いていると、下校時刻過ぎていると言うこともあり部活終わりの生徒でいっぱいだった。
いつもなら、混まない様にもう少し早く帰ってたのに今日は、失敗したなぁ…と思いつつ足早に門を抜けようと足を動かした。
「なまえちゃーん!」
「…えっ?」
この氷帝ならあたしと同じ名前の子くらい居るだろう。だけど、この声に今日あたしは散々呼ばれたのだ。
間違える訳がない。
ゆっくりと振り返るとそこには、ブンブンと手を振りながらこちらに走って来る芥川くんが見えた。
聞こえなかったフリをするにもすでに振り返ってしまったので、それも出来ず立ち尽くしていると芥川くんがあたしの前までやって来る。
「なまえちゃん!」
「あ、芥川くん…」
「まだ帰ってなかったんだね!よかったC〜!はい、これありがとっ!」
「え、あっ…うん」
「おい、ジロー!って、マジでなまえいるし!」
ニコニコと満面の笑みで貸していた膝掛けをあたしに返す芥川くんに少し引いてしまう。
と言うのも、さっきも言ったように部活終わりの生徒がたくさん居るのだ。
そして悲しくもまさかの向日くんまで登場で更に注目を浴びてしまっている。
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