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03*空に恋した向日葵(1/4)


あの日のお昼は、よく味がわからなかったのを覚えている。そしてあの日からなにかと向日くんが教室に遊びに来る事が増えた。

別に向日くんの事は悪い人ではないし、嫌いではないけど…ちょっと苦手だったり。

と言うのもファンクラブの子達の目もあるし…芥川くんが相変わらずあたしの膝掛けを持ってて、いつバレるかヒヤヒヤしているのだ。



「ほら、ジロー教室着いたで。そんな落ち込まんと歩いてや」

「無理だC〜…」

「家に忘れただけやろ?別に無くした訳やないんならええやん」

「…うぅ〜そうだけど。アレないとなんか落ち着かないんだC…おっしー、なんか代わりない?」

「そないな事言われてもなぁ。ハンドタオルくらいしか持ってへんよ、ほら」

「…うわぁ、おっしーの匂いする〜。こんなの嫌だC〜」



そして相変わらず、キャーキャーと騒がれながら教室に入ってくる忍足くんと芥川くん。

だけど、いつもは忍足くんに引き摺られながら来る芥川くんが珍しく起きてる上に自分で歩いていた事にビックリである。

しかし、あからさまに足取りが重たそうな芥川くんに何故かハンドタオルを渡す忍足くん。だが、すぐに芥川くんはそれを押し返していた。


そんな2人になんか喧嘩でもしたのかな?とか思いながらもそのまま視線を窓の外へと戻した。



「ねぇねぇ、それ貸して」

「…え?」



しかしすぐに視線を戻す事になった。不意に叩かれた肩にゆっくりと振り向くとそこには、親に怒られた後の様な顔をした芥川くんがいた。

しかも何故かあたしの膝掛けを指差していて、もしかしてバレてしまったのかと思い自然と顔が強張る。



「それ貸してくれる〜?」

「え…な、なんで?」

「俺の忘れちゃったから〜。代わりに貸して〜」

「え、いや…それはちょっと…」

「A〜?貸して〜」

「うわっ…ちょ、ちょっと!」

「こら、ジロー!無理矢理取るんやない」

「だ、だってぇ〜…ん?」



そしてなんとなく状況が理解出来たあたしは、膝掛けを貸すわけにはいかず…断ったはずなのに強引にあたしの膝から膝掛けを奪う芥川くんに忍足くんが止めに入るが、時すでに遅し。

芥川くんはあたしの膝掛けを抱き抱えていた。

そして何かに気付いたのか芥川くんの表情が変わり、あっ…と思わず声が漏れてしまったあたしに、忍足くんはやってしまったと言わんばかりの顔をした。


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