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見えないキミ (1/4)


・・・疲れた。

撮影初日から今日まで撮影の合間や空き時間は、ずっとRyoさんの相手をしていて息が詰まりそうだ。

唯一、寝る前の電話で切原くんの声を聞けるのを楽しみに頑張っていると言っても過言じゃない。



「"もしもし?お疲れ!今日は、昨日よりかなりおせぇな"」

「…うん、ありがと」

「"なんか元気なくね?ねみぃなら寝ていいぜ?"」

「ううん、ちょっと疲れちゃって」

「"なら尚更、早く寝た方がいいんじゃねぇの?"」

「うん。でももう少し声が聞きたいなって…」

「"お、おう!そっか!あ、なんなら寝落ちしていいぜ?"」



眠くないと言えば嘘になるけど、切原くんと会話をしていると自然と心が落ち着いて安らかな気持ちになって、また明日も頑張ろうと思える。

基本的に切原くんが今日の授業はこうだったとか部活で先輩達にシゴかれたとか…他の人からしたら他愛のない話かもしれない会話も、あたしからしたらとても楽しい時間だった。



◆◇◆◇◆



そして切原くんに言われた通りと言うか…そんなつもりはなかったんだけど、いつの間にか本当に寝落ちをしてしまったらしく目を覚ますと携帯を持ったままだった。

急いで携帯を確認すると切原くんから"マジで寝落ちすんのかよ(笑)寝顔見れねぇのは残念だけど、ゆっくり寝ろよ〜"とトークが入っていてなんだか恥ずかしくなった。

とりあえず、朝の挨拶と寝落ちに対する謝罪を入れてからすぐに支度をして迎えに来てくれた槙野さんと一緒に部屋を出た。



「おはようございます。今日の撮影もよろしくお願いします!」

「おっ!ナマエちゃんおはよ。なんだか今日は、気合いが入ってるねー!」

「え、あっ…はい。頑張ります!」

「うんうん!やっぱりナマエちゃんは、笑ってた方が可愛いね。まぁ、今日は笑顔が少ないシーンばっかりなんだけどね」



そう言いながら笑う監督に頭を下げてから、着替えをする為に衣装部屋に向かった。

そして、そこには待ってたと言わんばかりの衣装さんとメイクさんがいた。

といっても、幽霊役で衣装はずっとシンプルな白いワンピースなのでそこまで着替えに時間は掛からないんだけど。


そしてメイクとヘアメイクをして貰いながら何度も台本に目を通していた。

今日の撮影は一番の難所で少し不安だ。だけど、なるべく取り直しはしたくないし…出来る限り自分の満足出来る演技をしたいから何度も頭の中で今日のシーンをシュミレーションした。


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