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通じた気持ち (1/4)


…今、なんて言った?

混乱する頭の中でさっきの日吉くんの言葉が何度も響く。しかも未だに日吉くんに抱き締められたままで本当に頭が働かない。

…どういう事?あたしの聞き間違い?それともまたからかわれてる?



「…信じて貰えないだろうが、本当だ」

「…でも思わせ振りな態度って…不快って」

「っ、お前がモテると聞いて八つ当たりした。さっきのは、切原達と楽しそうにしてたのが気に食わなかった…俺の勝手な嫉妬だ」

「…ぶっ、ははっ…なにそれっ…日吉くん意味わかんないよ…」

「…悪い」



なんかもう本当に意味がわからなくて泣けてくる。でも日吉くんに嫌われてないんだとわかった途端、凄く安心した。

ゆっくりとあたしの体を離すとすまなそうな顔をした日吉くんが悪いとまた謝って来て、涙が引っ込んだ。

それになんだか、余りにも日吉くんの態度が違い過ぎて笑ってしまった。



「思わせ振りな態度は良くないんだよね?」

「…ん?いや、だからそれは俺が」

「あたしも日吉くんが好きです」

「…はっ?」

「…え、なんかごめん」

「いや、そうじゃなくてだな…本当にそうなら嬉しいが好きになる要素ないだろ」

「え、それを言うなら日吉くんもじゃん」



まさかあたしの好きですをはっ?で返されるとは思わなかった。うん…ごめん、ちょっとショック受けた。

そして好きになる要素って…いや、日吉くんの場合はいっぱいあるでしょう。顔はもちろん頭も良いし。2年生であの何百人もいるテニス部のレギュラーだし。

それに優しいし。
いや、まぁ結構酷い事言われた気がするけど…毎回あたしを待っててくれて家まで送ってくれてたし。

まぁ、だからどっちかというと特に水泳以外取り柄がないあたしを好きって方が不思議なんだけど。



「多分、最初にみょうじが泳いでるのを見た時に好きになった…と思う」

「自信無さげだね」

「正直、最初はみょうじが好きだったのか…みょうじの泳ぎが好きだったのかわからない」

「あたしの泳ぎ?」

「あぁ。でもいつからか泳いでない時もみょうじが気になってた。結構、教室でもお前の事を見てたと思うぞ」

「ちょ…日吉くんぶっちゃけ過ぎ。は、恥ずかしいんだけど」

「…今更だ。全部聞け」



うっすらと赤い顔をしながらも真っ直ぐとあたしを見てそんな事を言う日吉くんにあたしは、頷く事しか出来なかった。

ていうか、日吉くんちょっとヤケになってない?しかも本気であたしの方が恥ずかしいんだけど。


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