不安は絶えない　(1/4)

最近のなまえは、相変わらず笑いはせんけどかなり表情が出るようになった。まぁ、困った顔とかが大半やけど。



｢みょうじさんみょうじさん！さっきの財前見た！？見たやんな！？あんなカッコ付けといてアウトやで！｣

｢…謙也さん、ホンマに張り倒すで｣

｢まだまだやなぁ〜財前。なぁ、みょうじさん｣

｢えっ…は、はい｣

｢白石部長は、なまえに近いッスわ｣

｢なまえちゃん！今日も朝からお疲れ様やでぇ！｣

｢あ、金色先輩こそお疲れ様です｣



それを知っとるせいか朝練と昼飯に先輩等がやたらとなまえを笑わせようと頑張っとる。

せやけど、今んところなまえは笑わんし全部失敗で終わっとる。

ちなみにユウジ先輩と金色先輩のコントを真顔で見てた時は、思わず俺が笑った。しまいには、なにがなんだかわからないと言わんばかりに頭傾げとったしな。

せやけど、なんだかんだで先輩等にも慣れて来たみたいでそれなりに話すようになった。



｢みょうじー、それ取ってやー｣

｢えっ…あっ、はい。どうぞ｣

｢おう、おーきに。ついでにそれも｣

｢…ユウジ先輩、なまえはマネージャーちゃうやから働かせんといてや｣

｢光くん大丈夫だよ。それにみんなには練習見させて貰ってるから…お礼したい｣

｢女神か！女神なんか！？ちゅーか、練習とか見ててもおもんないのにお礼とか要らんちゅー話やで！｣

｢ちゅーか、光うるさ過ぎやろー。みょうじも嫉妬深い彼氏持って大変やなー｣

｢盛大なブーメランッスね｣



ちゅーか、ホンマにユウジ先輩はなまえに色々頼み過ぎやねん。ボール取って来いだの、部室から救急箱取って来いだの…どんだけやねん。

それになまえも全然嫌がらへんから先輩等がめっちゃ調子乗ってマネージャーやる？なんて言い出す始末や。

でも俺が反対しとるからなまえがマネージャーになる事はないんやけど。まぁ、部活になまえがおるんもええけど…やっぱり心配やしな。放課後はギャラリーおるし。



｢光くん。はい、タオル｣

｢ん、おおきに｣

｢自分もタオル持たせたりしとるクセになー｣

｢ホンマになー｣

｢当たり前ッスわ。なまえは、俺専用やし｣

｢なんやそれ！めっちゃ羨ましい！ちゅーか、ものごっつ腹立つ！｣

｢謙也さんも彼女作ればええやないですか。ほんで、マネージャーやって貰えばええ話ッスわ｣



そんな俺の言葉にそれが出来へんから腹立つんやろ！とかなんとかギャンギャン騒ぎ出す謙也さんを無視して、なまえに今日の練習はどうやったか聞いたら楽しかった言うて嬉しそうに目を細めた。

笑っとる訳ちゃうけど、なまえのこの顔めっちゃ可愛えわ。


prev|next