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そして話を聞いた保健医がゆっくりとあたしに毛布を掛けてくれた。

ちなみにお腹の痛みは、アレです。女の子の月1のアレです。つまりは、アレです。



「毎回、こんなに重いの?なら鎮痛剤とか持ってない?」

「…わ、忘れました…」

「うーん…基本的に学校側からお薬はあげられないんだけど…さすがにちょっと辛そうだしね」

「…うぅっ…家に帰ればあるんだけど…」

「なら親御さん、迎えに来れる?」

「……無理です…いないですね」



美奈姉も辰兄ちゃんも仕事だし、まさかの生理痛ごときで仕事を抜け出して貰う訳にはいかない。

いや、ごときじゃないくらいに死に掛けてるんだけどね。

それでも美奈姉達には、迷惑を掛けたくないので我慢するしかない。



「…なら薬、貰えば。我慢が出来るって顔でも帰れるって顔でもないし」

「…うぅっ…帰れるし」

「無理はしない方がいいわよ。あなた、顔色真っ青よ?気休めにしかならないかもしれないけど、とりあえずお薬飲みなさい」

「…う、はい…すんません」

「じゃあ俺戻るけど」

「……あ、ありがと」

「…別に。じゃあね」



保健医に軽く頭を下げると保健室から出て行く深司に少しだけ感謝しつつ、保健医から差し出された鎮痛剤を飲んでまたソファに横になる。

ベッドに移動しないのは、そんな気力がないからである。むしろ、今はなるべく動きたくない。

てか、なんで薬忘れたんだ。あたしは、バカか。こうなる事は、わかってたのに…。あぁ…あれか、まだこっちの環境に慣れてないせいかな。



「それにしてもあの伊武くんが女の子をおぶって来るとは思わなかったわ」

「…いや、成り行きで…てか、まともに歩けなくて」

「それにしてもおんぶはしないんじゃないかしら?ほら、あの子ちょっと性格に難がある子だから」

「…まぁ、それは否定出来ないですけど。席が隣で唸ってたらうるせーって言われて〜みたいな」

「あら、席が隣なの。あ、カイロはいる?少しは良くなると思うわよ」

「あ、貰います…。てか、先生って結構喋るんですね」

「ふふ、ちょっと気になっただけよ?噂の転校生のみょうじさんと伊武くんの組み合わせに。とりあえず、寝れるなら寝ちゃいなさい」

「…はい…寝ます」



なんかよくわからないけど気さくな先生でよかった。しかもすげぇ優しいし。

カイロを貰ってお腹に乗せつつあたしは、気を紛らわせる様にゆっくりと目を瞑った。


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