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それにしても…速い速いと思ってたがまさか1位を総なめするとは思わなかった。しかも何個かは大会新記録を出してると来たもんだ。
「改めておめでとう。頑張ったな」
「えっ…うん!ありがとう。日吉くん達も優勝おめでとう」
「あぁ、無事に切原にも勝てたしな。まぁ、当たり前だが」
「切原くん凄く悔しがってたね。いいライバルがいて羨ましい」
「ライバルが欲しいのか?」
「んー、ライバルってよりは一緒に泳げる人かな」
そう言いながら淋しそうな顔をするなまえに少し不思議に思い頭を傾げるが、よくよく考えたら先輩達はこの大会で引退で…水泳部は元から人数不足で廃部になった訳で、必然的に水泳部の部員はなまえだけになる。
元から1人で泳いでいるのを知っていたからか、余りそういう風には見えなかったが…はやり、1人になるのは淋しいのか。まぁ、あんだけ騒がしい先輩達がいなくなるとなれば、淋しくも感じるか。
だが、それは無駄な心配な気もするが。
「確信はないが、引退後も川谷さん達は普通に泳ぎに来ると思うぞ」
「ん〜でも受験とかで忙しくなるんじゃないのかな」
「いや、川谷さん辺りはちょっとした息抜きだ!とか言って来そうな気がするが」
「ははっ、それは確かに」
「それにテニス部のプール練もなくなる訳じゃないからな」
「てっきり夏の間だけだと思ってた。でもよく考えたら、室内プールだし季節とか関係ないよね」
ちびちびとジュースを口に運びながら、1人で納得している様子のなまえに相変わらずどっか抜けているなと思いつつ、自分もグラスを手に持った。
しかし、そんな俺達にいきなり飛び付いて来る人が1人。いや、声で誰だかすぐにわかるが…。
隣でなまえが危うくジュースを溢し掛けたのをフォローしつつ、ゆっくりと振り替えると満面の笑みを浮かべた川谷さんがいた。
「クソ〜目の前でいちゃいちゃしやがって!俺もみょうじといちゃいちゃしたいんだぞ!」
「え、なに言ってるんですか…?」
「ちょ!そんな真顔で頭傾げないで!なんか俺が変な事言ったみたいじゃん!!」
「え、言ったじゃないですか」
「とりあえず!みょうじは俺達とお話しすんの!」
「は、はぁ。それは別にいいですけど、跡部さんが青筋立てて後ろに立ってますけど大丈夫ですか?」
「・・・・・」
「跡部さん、どうぞ連れてって下さい」
「アーン?当たり前だ。川谷、今日という今日はお前にきっちりと説教してやる!」
川谷さんが一体何をやらかしたのかは知らないが、跡部さんに首根っこを掴まれてズルズルと引き摺られて行く川谷さんを不思議そうな顔をして見つめているなまえにとりあえず、気にするなと言っておいた。
それにしても、油断も隙もない人だな。まぁ、川谷さんは陰でコソコソする人ではないからそこまで気にはしてないがな。
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