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そして色々あったが昼食を済ませて軽く休憩を入れてから、また練習試合を再開した。
ちなみにみょうじや川谷さん達もプールに戻った。テニスの試合が観たいと川谷さんが散々駄々をこねていたが、結果的に海野さんに引き摺られて行った。
そしてある程度試合が終わり休憩をしていると試合観に来たぜー!と川谷さんがぶんぶんと手を振りながら走って来た。だが、生憎こっちも休憩中だという跡部部長の言葉にえぇー!?と無駄にでかいリアクションをして騒いでいる。
そこでみょうじがいない事に気付き、呆れた様に川谷さんを見ていた海野さんに聞くと無駄に調子良くなって休みなしでずっと泳いでるよ。と言われてありがとうございますと軽く頭を下げてからプールに向かった。
そしてプールに着くとそこには、俺が知ってるみょうじが嬉しそうに泳いでいて久し振りにみょうじが泳いでるのを見た気がした。
プール練の時も何故か記録ばかりしていたし、極力プールに入っていなかった気がっ…そういう事だったのか。
やはり、俺はみょうじに謝っても謝り切れない程の事をしていた様だ。
「あ、あれ…日吉くん?なんでいるの?練習試合は?」
そんな事を考えていたら俺がいる事に気付いたらしく、みょうじがゆっくりとプールから上がると小走りで俺の元に来た。
「おーい?日吉くーん?」
「ずっと俺のせいで色々と我慢させていたんだな」
「へっ?」
「プール練の時、ずっと記録ばかりしてたのは俺に関わらない様にする為だろ?」
「ははっ…バレてた?あたし嫌われてると思ってたからさ、日吉くんがあたしのせいでプール練を嫌にならない様にっ…うわ!」
「多分、他にも色々と俺のせいでみょうじに無理をさせてたと思う。本当に悪かっ…」
「えっ…あぁ!ひ、日吉くん!またびしょ濡れになっちゃうよ!」
「せめて最後まで言わせろよ…」
俺の腕の中でそれより日吉くんが濡れちゃう濡れちゃう!と騒いでいるみょうじになんならこのままプールに飛び込むかと呟くとダメだから!と俺を見上げた。
…あぁ、普通に目の毒だな。
今まで競泳水着をそういう目で見た事がなかったが…そうか、前に水着の時に抱き寄せた時は真っ暗だったからか。
それに濡れちゃうと騒いでいるわりに嫌がらないのもどうなんだ?いや、嫌がられたらそれはそれで俺がショックを受けるが。
「ね、ねぇ…日吉くん心臓の音凄いけど」
「誰のせいだ。てか、聞くな」
「えぇ、だって」
「嫌がらないみょうじが悪い」
「だって嫌じゃないからね」
「なっ…濡れちゃうって騒いでただろうが」
「日吉くんに抱き締められてるのは嫌じゃないもん」
…お前、それはさすがに狡いだろう。
みょうじの言葉に思わず顔を手で押さえると、あれ?照れてる?と頭を傾げながら笑うみょうじに何も言えなかった。
(…プール飛び込むか)
(いや、ダメだってば!)
(なぁ、みょうじ)
(えっ?)
(今更なんだが付き合ってくれるのか?)
(ほ、本当に今更だった…)
(いや、気持ちは聞いたが)
(え、日吉くんが良けれっ…うわ)
(本当にいいんだな?)
(あたしに断る理由ないよ?)
(なら何されても文句言うなよ)
(前からあたし結構色々されてたし)
(…それをいうな)
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