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ははっ、うわぁ…ヤバい。
涙止まんないんだけど。
あたし、どんだけ日吉くんに嫌われてるんだろう。
プールに戻るのも憂鬱だったから、水道で蛇口を指で押さえて噴水の様にして水を浴びながらそんな事を考えていた。
ちゃんと関わらない様にしてたんだけどなぁ。プール練の時も極力あたしは、テニス部の人達と関わらない様に記録係をするようにしてた。
それでもやっぱりダメだったみたいだ。
あぁ…もうやだなぁ…
泳いでも気分は晴れないし。
むしろ、全然泳げないし。
前のあたしならどんな事があっても泳いでれば、忘れられたのに。
……不快、かぁ。
蛇口からゆっくりと指を離しその場にズルズルと座り込み膝を抱えた。
…どうしたらいいんだろう。
こんなんじゃ先輩達にも迷惑掛けちゃう。いや、既に掛けてるんだけど…。
もうこの際だから日吉くんに嫌いだってはっきり言って貰おうかな。逆にスッキリして諦めが付くかもしれない。あたしが嫌われてるのはわかりきってるんだし。
「みょうじ!」
「……っ!なっ、…」
「…悪い。みょうじは何も悪くないんだ」
「…っ、でも」
「…思わせ振りな態度なんてしてないのもわかってた。さっきのもそんなつもりがないのもわかってる」
「…意味がわからないよ」
「俺が悪いんだ。だから泣かないでくれ…みょうじは何も悪くないんだ」
急に名前を呼ばれてビックリして顔をあげるとそこには息を切らした日吉くんがいて、いきなりあたしに頭を下げた。
いまいち状態が飲み込めなくて、頭を下げている日吉くんを呆然と見つめているとゆっくりと日吉くんが頭を上げるとこちらに歩いて来て思わずビクリと体が強張る。
「俺のせいで泳げなくなったんだろ?なのに何故俺を責めない」
「…っ!ち、ちがっ…」
「違わないだろ。先にお前にちょっかい掛けたのは俺だ、そして傷付けたのも俺だ」
「それはあたしが勝手に!だから…日吉くんは悪くないよ…あたしが日吉くんの嫌がる様な事して嫌われただけだし。ごめんね、もう関わらない様にするし迷惑掛けないかっ…!?」
「……っ、逆だ。俺は、お前が好きだ」
あたしの視線に合わせるように座った日吉くんが悲しそうな顔をして自分を責める様な事を言い出して、違うと反論していると急に日吉くんに抱き締められてビックリしたのも束の間…震える声で呟かれた言葉に息が止まった気がした。
※テニスコート
(ちぇっ、なまえ可愛いから狙ってたのに)
(確かに可愛かったのぅ)
(つーか、川谷がうぜぇんだけど…)
(あぁ、放っておいて良いよ)
(うぐっ…俺のみょうじがっ…)
(いや、かわやんのじゃねぇし)
(岳人は見付けに行かなくてええん?)
(うっせぇよ!バカ侑士!)
(つか、日吉がフラれる可能性あんじゃん!)
(相変わらず、赤也はポジティブだろい)
(つーか、あの若が嫉妬ねぇ?)
(ふふ、プール練始まってからずっとだよ)
(滝知ってたのかよ!?)
(だってよく目で追ってたし)
(それに一緒に帰ってる時点でわかるやろ)
(ふふ、家まで送る理由なんて好きな子だからに決まってるでしょ)
(日吉、素直じゃないですしね…)
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