不器用な伝え方 (1/4)


結局、あの日以来まともにみょうじと話す事が出来ないまま夏休みを迎えた。つまり、みょうじに謝る事すら出来ていない。

そしてそんな事を考える余裕もなく俺等氷帝は全国大会に向けて、今日は他校との練習試合を行っていた。



「ふふ、全国前に調節とはいえ氷帝と練習試合が出来るとは嬉しいよ」

「フンッ、随分と余裕そうじゃねぇの」

「そういう跡部こそ関東大会で試合に出なかったじゃないか」

「アーン?俺様が出るまでもなかっただけだ。つーか、そのセリフそっくりそのまま返すぜ」

「ふふふ、でも今年の関東大会で勝ったのはうちだけどね」

「うるせぇ、全国では負けねぇよ」



しかも今日の練習試合の相手は去年の全国大会で俺等を負かして優勝した上に、今年の関東大会でも俺等を負かして優勝した立海だ。

青学が伸び悩んでる間に関東で俺等氷帝と優勝争いしてるのは今は立海だけだ。

去年なんか関東大会でも戦ったのに全国大会でも決勝で戦う事になるくらいには、立海との試合が多い。ちなみに今年も関東大会で戦っているが、今年は負けた。

そして相変わらず柔らかな口調のワリに威圧的な幸村さんと話し込んでいる跡部部長を尻目に軽くストレッチをしているとよっ!と明るい声がして顔をあげるとそこには、相変わらずアホ面をしてる切原がいた。



「おう、久し振り!今日は、関東大会での仮を返してやっからな!」

「フッ、返せるといいな」

「うぜぇ!つーか、関東大会ん時よりなんか雰囲気暗くなった?負のオーラ出てんぜ?」

「お前が喧しいだけだろ」

「なんでだよ!ぜってぇ、負かすかんな!」

「言ってろ」



相変わらず、切原は喧しい。

ちなみに関東大会で俺に負けたのが相当悔しかったらしく、何度も全国大会では負けねぇだの本気じゃなかった等のメールが来ていたが、もちろん全て無視していた。

それにしても俺が暗くなっただと?そもそも、俺はそこまで明るい部類の人間じゃない。

それに負のオーラってなんだ。お前には一体何が見えてるんだ、霊的な何かか?なら詳しく話して欲しいが、切原の事だからなんとなくだの勘だのよくわからない事を言い出しそうなので聞かない事にした。


そして俺の隣で何故か一緒にストレッチをし始める切原は、試合が出来るのが嬉しいのかなんなのか…どうでもいい話を永遠としていた。

俺より鳳のところに行けよと心の中で思いつつ、適当に切原の話に相槌を打ちながら俺はストレッチをしていた。


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