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*****

…なんでだろう。

水の中にいるのに、大好きな水泳をしてるのに…なんでか体が重たくて全然楽しくない。

タイムもいつもよりかなり悪くて、先輩達が凄く心配そうな顔をしていた。大会も近いのにあたしは、何やってるんだろう。

結局、先輩達に心配を掛けるくらいならと早めに帰宅したんだけど…ベッドにダイブしたまま何もする気になれない。

本格的に具合が悪いのかもしれないと自分のオデコに触れるが全く熱はない。というか、別に痛いところもなければ気分が悪い訳でもないんだよね。

ならあたしはどうしたんだ。


…やっぱりショックだったのかな。日吉くんに嫌われたって考えたら凄く悲しいし。

アレだ、これはまんまと日吉くんにやられた。からかわれてただけなのにあたしだけ舞い上がってたパターンだ。

あ、そう考えるとあたしも日吉くんが嫌いな女の子達と同じになる訳か。アレかな…あたし試されてたのかな?なんかよくあるじゃん、自分に靡かない子がいいみたいな。

だとしたら残念。あたしは、日吉くんの事が結構好きだったみたいだ。

と、自分の気持ちに気付いたはいいが気付いた途端に失恋とはなんとも切ない。


ん〜…日吉くん普通にカッコいいもんなぁ。いや、別に見た目で好きって訳じゃないけどさ。

ていうか、モテるのもわかるわ〜とか余裕ぶっこいてたクセにまんまと日吉くんに惹かれてたとか…あたしはバカか。

しかも思わせ振りなのは良くないよとか言っといて、好きになるとは本当にマヌケである。

でも今思えば、日吉くんはからかって思わせ振りな態度をしてるだけだからって自分に言い聞かせてただけだったのかもしれないなぁ。

うわぁ…なんか悲しい。



「なまえ〜?ともだちちゃんが来たわよ!」

「えっ…!」

「なまえ〜!!大丈夫なの!?うわぁあぁん!」

「うわぁっ…!ちょ、どうしたの!?」

「どうしたはこっちのセリフだよぉ!大丈夫なの!?なまえが部活早退なんてっ…」

「えっ、あぁ…大丈夫だよ」

「嘘だよ!なまえは、高熱があっても泳ぐ様なバカなんだよ!?そんななまえが泳がずに家に帰るなんてっ…!」



お母さんの声が聞こえたと思ったら凄い勢いで階段を上がってくる音がして、バァンッ!とドアが開いてともだちが凄い勢いであたしに飛び付いて来てさすがにビックリする。

しかもなんか凄い失礼な事言われてる気がする。

だけど、ともだちがあたしを心配してくれてるのはわかってるので本当に大丈夫だよとともだちの頭を撫でると嘘だぁぁあぁ!と叫ばれた。

…ちょ、うるさいよ!




※軽く事情を説明後
(くっ…日吉め!滅せよ!)
(いやいや…なんでよ)
(なまえをその気にさせて捨てるとか!)
(…いや、それは違うし)
(私は絶対にあいつを許さない!)
(許さないもなにも…日吉くん悪くないよ)
(うわぁぁん!そんな泣きそうな顔しないでよー!)
(いや、まぁ…うん)
(てか、なまえも気付くの遅いよ!バカ!)
(それは自分でも思った)
(なまえのにぶちん!)
(怖くて気付かないフリしてたのかも…ははっ)
(…うぅっ、なまえ〜泣かないでよ〜)
(泣いてないよ、バカ)
(泣きそうだもん!クソ!日吉め!!)

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