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「なぁ、日吉〜」
「なんですか?」
「お前、みょうじと付き合ってんの?」
「ちょ、岳人…それはさすがに直球過ぎやろ」
部活が終わり着替えをしていたら、隣で着替えていた向日さんが急にそんな事を言い出してゆっくりと視線を向けるとどうなんだ?と言わんばかりの目で俺を見上げていた。
相変わらず、小さいなこの人。
そしてそんな向日さんの言葉に俺がなんと答えるのか気になるのか、さっきまでざわついていた部室が静かになる。
なんなんだ、この人達は。
「別に付き合ってませんけど」
「はっ!?マジで!?」
「ただのクラスメイトですけど」
「ふふふっ、日吉ったらみょうじさんと全く同じ事言ってる」
「せやけど、付き合ってへんのやったらなんで一緒に帰ってるん?しかもわざわざ待ってまで」
「さぁ、なんでですかね」
「なんだよそれ!気になるじゃんかよ!」
ギャアギャアと騒がしい向日さんに溜め息を吐きながら、着替えをする手を速める。
なんでそんな事を向日さん達に言わなきゃならないんだ。それにただ一緒に帰るくらいで騒ぎ過ぎだと思うんだが。
それになんでと聞かれても普通にみょうじを1人で帰すのが心配だからとしか言い様がない。
「でもまぁ、付き合ってねぇならよかったっつーか」
「は?」
「なんや岳人のヤツ、みょうじさんの事が気になっとるんやと」
「なっ…バカ!バカ侑士!何言ってんだよ!違うからな!別にそんなんじゃねぇから!」
「ふふふ、でもみょうじさんってモテそうだよね。実際どうなの?」
「…さぁ、知りませんけど」
忍足さんの言葉にもビックリだが向日さんが顔を赤くして否定してる様子を見る限り、みょうじに気があるのは確かな様だ。
…そういえば、プール練の時にやたらとみょうじに話し掛けてた気がするな。
それにクラスの男子にもみょうじの水着ってなに!?とか無駄にしつこく聞かれたな。そう考えるとみょうじは結構モテるのかもしれない。
まぁ、確かに顔は悪くないし性格も少し変わってはいるが悪い訳ではないからな。
「じゃあ鳳!お前、なんかみょうじの事で知らねぇの?」
「必死過ぎだろ…激ダサだな」
「え?みょうじさんについてですか?えーと…俺、1年の時はクラス同じでしたけど今は違いますし。でも1年の時から男女共に好かれる子でしたよ」
「へぇ、意外やな。泳いどる時以外めっちゃ淡白なイメージあったわ」
「そうですか?それと俺のクラスにもみょうじさんの事好きなヤツ結構いるんで、モテると思いますよ」
鳳は、律儀に答え過ぎだろ。
それとまさか他のクラスにまでみょうじに気を持ってるヤツがいるのか。
…………。
気付きたくはなかったが、どうやらみょうじがモテるとわかったら凄く気分が悪い。
別に誰が悪い訳でもないが、そういう目でみょうじを見てるヤツが多いという事が嫌だった。
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