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よくわからない感情のまま、再び線香花火をやり始めると…栗原と入れ違う様にみょうじが手持ち花火を持ちながらこちらに来た。

絶対に栗原が余計な事を言ったに違いない。そして遠目に親指を立てながらどや顔をしている栗原が見えて、溜め息を吐いた。



「におーくん達は、こっちで花火しないの? おっきいのやろーよ!」

「い、いやっ…」

「ふふっ、俺等は楽しそうに花火をしているみょうじさんを見て楽しんでるから大丈夫だよ」

「ん? そーなの? でも幸村くん達とも一緒にやりたいから、わたしにも線香花火ちょーだい!」

「ふふ、いいよ。はい、じゃあ火付けるね」

「あ、におーくんとえーと…柳くんも! 先に落とした人が負けね!」

「ふっ、いいぞ。受けて立とう」


そして何故か、線香花火をやりたがるみょうじとノリノリで勝負に乗る参謀である。

いや、まぁ…そのくらいなら別にいいんじゃが…普通に隣に座り込んで真剣に線香花火を見つめているみょうじが気になって気になって仕方がない。

そっちの方が問題じゃ。
しかも、ちょいちょいこちらを見上げて目が合うと嬉しそうにみょうじが笑うもんだから、俺は早々に線香花火の火種を落とした。

そんな俺を見て、幸村が吹き出すがそんなんは無視じゃ。

毎回毎回、俺だけが焦ってドギマギするんは悔しいナリ。それに普段なら絶対に負ける気がしない勝負にあっさりと負けたりと、いくら俺でも少し意地悪もしたくなるぜよ。



「っ! あ、うわ…に、におーくん! まって」

「いいぞ仁王、もっとやるんだ」

「ず、狡いよ〜! うっわぁ、揺れる揺れる〜!」

「はははっ、みょうじさん頑張って!」

「む、むぅっ…ほっぺた、ぷにぷにしないでよ〜! におーくん!」

「気にしなさんな。集中しんしゃい」



とりあえず、隣からみょうじの頬を軽くつついて邪魔をするという意地悪をしている。尚、みょうじは線香花火から目を離せない様で火種を揺らさないにと必死である。

その一方では、参謀が余裕の笑みを浮かべている。

そして俺の邪魔のせいなのか、参謀より早くみょうじの火種がポタリと落ちた。

そしてその瞬間、みょうじがぷぅーっと頬を膨らませてながら俺の方を向いた。



「もーう、負けちゃったよ〜!」

「ナイスアシストだったぞ、仁王」

「うぅ、狡いよ〜。反則だ〜反則〜!」

「すまんて、そんな怒らんでも」

「じゃあもう1回! 次は、幸村くんも一緒にやろう! 負けた人は邪魔しちゃダメだからね!」

「ふふっ、いいよ」



そして何故か、第2ラウンドが始まりなんだかんだで邪魔はナシとか言い出したみょうじが真っ先に火種を落として、駄々をこねる様に俺等の邪魔をしたのは言うまでもない。

ちなみに勝ったのは幸村で俺は、真っ先にみょうじにさっきのお返しと言わんばかりに邪魔をされてみょうじのすぐ後に落とした。



(真っ先に邪魔されたぜよ)
(さっきのお返しだよ〜)
(ふふ、楽しかったかい?)
(うん! 楽しかったよ!)
(ふふっ、ならよかった)
(よし、次は手持ち花火で勝負〜!)
(うわっ、ちょ、待ちんしゃい)
(俺等はまだ線香花火をしている)
(ふふっ、2人で楽しんでおいで)
(わかったー! におーくん、行くよー!)

※凄く中学生してて可愛いですね。
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