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そして何故か、栗原を交えて謎の恋バナとやらに発展したんじゃが…なんと言うか、お前さん等が楽しんどるだけじゃろ。
「なまえちゃんは、あぁ見えて小悪魔気質だから…ワザと仁王くんを振り回してる可能性は確かにあるかな…」
「ふふっ、みょうじさんって気を引くの上手いもんね」
「でも仁王くんにしかあんな絡み方してないけどね。基本的になまえちゃんって受け身だから」
「そうなんか?」
「うん。なまえちゃんって、基本的に1人でふらふらしてる事の方が多いし。それなのに、なんでかなまえちゃんの姿を見ると放って置けないし、構いたくなるんだよね」
「ふっ、まるでペットの様だな」
…まぁ、栗原が言いたい事はよくわかる。
俺がみょうじの姿を見付けると声を掛けたくなるし、また怪我をしとるんじゃないかと心配になるのと同じ様なもんじゃろ。
普通なら女子っていうのは、やたらと集団行動をしたがる上に…そこから外れたヤツを蔑ろにするイメージがあったんじゃが、何故かみょうじにはそういった感情にならないんじゃろうな。
みょうじが異様に人付き合いが上手いのか、はたまた違う理由なのかはわからんが…本当に不思議なヤツじゃ。
「そ、それと…や、柳生くんって…今好きな人とかいたりするかな?」
「お前さん…実はそれが目的だったじゃろ」
「い、いや! そんな事ないよ! ただ、仁王くんって柳生くんと仲良いみたいだし…もしかしたら、何か知ってるかな〜なんて」
「へぇ、栗原さんは柳生が好きなんだ。丸井と仲良い感じに見えたのに」
「丸井は子供っぽいから無理。私、年上とか大人っぽい人がタイプだから…って言っても、真田は無理だけど」
「ふむ、色々とみょうじについて話して貰ったからな。柳生について、軽く答えてやろう」
ほぅ、柳生が大人っぽいねぇ? 正直、俺等からしたら大人っぽいヤツなんてテニス部にはいないと思うが。強いて言えば、参謀くらいじゃなか? じゃが、その参謀も普通に子供っぽいところもあるしのぅ。
そもそも、中学生男子に大人っぽさを求める方が間違っちょる気もするが。
そして参謀が当たり障りのない程度の柳生の情報を栗原に話すと、それはもう嬉しそうに笑顔でお礼を言った。
「ありがとう! 私も頑張るから、仁王くんも頑張ってね!!」
「えっ…お、おう」
「多分、なまえちゃんも仁王くんの事を好きだと思うし。この際だから、なまえちゃんにハッキリ言っちゃえ!」
「ふふっ、凄い勢いで背中を押すね。まぁ、確かにみょうじさん相手ならハッキリ伝えた方が早そうだけど」
「無理言いなさんな」
「然り気無くなまえちゃんに探り入れたりしてあげるから、仁王くんも協力してね! じゃ、戻るね!」
まさに言いたい事だけを言って去って行った栗原にはぁ〜…と大きな溜め息を吐きつつ、未だにクスクスと楽しそうに笑っている幸村と参謀に更に頭を抱えた。
はぁ…どんな展開じゃ。
しかも協力する事を強制されちょるし…やっぱり女子は勝手ナリ。
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