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部屋に戻り、仕方なく水着に着替えちょる訳じゃが…
「仁王、もう少し嬉しそうな顔しなよ。折角、みょうじさんの水着姿が見れるんだから」
「流石に理由が不純過ぎますよ…」
「いや、みょうじの事だからスクール水着なんじゃねぇの?」
「ブン太の中のみょうじは、どんなイメージなんだよ…。さすがにスクール水着はないだろ」
「みょうじさんは、普通に可愛い水着な気がするけどね」
そして何故か、みょうじの水着談義に発展しちょる。いや、別に…みょうじがどんな水着を着てようが俺は構わんのじゃが。普通にみょうじに似合っちょれば、なんでもいい。
ちなみに真田は、女子の水着について語るなど破廉恥だの騒いどった。
そんな話を聞き流しながら準備を終わらせ、幸村達と一緒にロビーへと向かった。
しかし、まだみょうじ達は来ていない様で幸村達がパラソルやらシートやらを準備している。なんだが、無駄に張り切っちょるなぁ…。
そして暫くして、エレベーターから降りて来たみょうじがぶんぶんと手を振りながら向かって来た。
パーカーにショーとパンツ。
そしてトレードマークになりつつある膝の絆創膏。
姿だけ見れば、とても活発で元気な子に見える。だが、期待を裏切らないのがみょうじじゃ。なんと、こちらに着く前に何もないところ躓き、友人に腕を引かれていた。
相変わらず、危なっかしい。
「お待たせ、待った?」
「ごめんね、遅れちゃった」
「わたしが着替えに手間取っちゃってね。ごめんね?」
「いや、全然大丈夫だよ。それにそんなに待ってないし」
「つーか、お前等ちゃんと水着着てんの?」
「海に入るんだから着てるに決まってるでしょ! なに、丸井…うちらの水着が気になるの?」
「はっ? ちっげーよ!!」
そして何故か当たり前の事を聞いて、ブンちゃんが女子から非難されちょる。ブンちゃんは、下心丸出し過ぎるぜよ。
それより俺は、着替えに手間取ったと言っちょるみょうじの方が気になるんじゃが。まさか、そんな奇抜な水着を着てきたんか? そもそも、着るのに手間取る水着ってなんじゃ。
そんな事を考えながら、幸村に渡されたレジャーシートを抱えていると何故か、にこにことみょうじが俺達に寄って来た。
「わたしも何か手伝うよ〜」
「いや、俺等が運ぶから大丈夫だよ。ただみょうじさんは、また転ばない様に気を付けてね?」
「はぁい」
「あ、なんなら仁王のパーカーでも握ってるといいよ。転びそうになったら、仁王が助けてくれるだろうし」
「両手塞がっとるんじゃが?」
「ははは、大丈夫大丈夫。仁王ならどうにか出来るって! ほら、そろそろ行くからみょうじさん早く掴んで」
適当な事を言う幸村にみょうじは、わかったぁ〜と緩い返事をすると俺のパーカーの裾を摘まむ様に掴むとジーっと俺を見つめた。
…な、なんじゃ。
俺は、何もしとらんぞ。
そして、動揺する俺をよそにみょうじはへへぇと目を細めて笑い、楽しみだね〜なんて言いながら裾をちょいちょいと引っ張った。
…やめてくれ、その格好でその仕草で笑うんは卑怯ナリ。
(っ、く、ふっ…はは)
(幸村が楽しそうで何より)
(だって、仁王が面白過ぎて)
(頭を抱えて悶えているな)
(更にみょうじさん小悪魔過ぎて)
(まぁ、あいつはそういう奴だからな)
(天然なのかわざとなのか)
(みょうじはよくわからんな)
(みょうじさんなりにアピールしてるのかな)
(それは微笑ましいが)
(仁王の身が持たなそうだよね)※立海が中学生してる気がする
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