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09*(2/4)


◆◇◆◇◆


「はぁ〜笑った笑った」

「退屈しなかったぜぃ」

「仁王…大丈夫か?」

「……身体中痛いナリ」

「鍛練が足りんな!」

「うむ、みょうじを起こしてやれ」



無事に目的地に着いたはいいが、バスの中でずっとみょうじが俺に寄り掛かって寝ていたので下手に動けずにいた俺は既に疲れ果てている。

というのも、面白がってちょっかいを出して来た幸村とブンちゃんが悪いんじゃが。

そしてそんな騒ぎの中、何故か一度も目を覚まさなかったみょうじは凄いと思う。

とりあえず、未だに寝ているみょうじを起こす為に肩を揺する。



「ん〜、ん? んー、におーくんだぁ」

「よう寝とったな。もう着いたぜよ」

「ふぅ〜冷静を装っていく〜!」

「……ブンちゃんマジで後で覚えとけよ」

「仁王の標準語怖い」



まぁブンちゃんの事は後で考えるとして、まだ眠たそうな目をしてぽけ〜っとしとるみょうじに手を差し出す。

もちろん、まだ覚醒してないみょうじが転んだりする可能性を考えてじゃ。まぁ…多少なりと下心もあるが。

ちなみにみょうじが手を取ってくれない可能性もあるので、ちょっと怖かったりもする。



「ん、ありがと〜」

「ふふ、じゃあ仁王はちゃんとみょうじさんを連れて降りて来てね」

「ん、了解ナリ」

「ナリ」

「これ真似するんじゃなか」

「へへへ〜」



みょうじが手を取ってくれた事は素直に嬉しいが、思っていた以上に恥ずかしい。

そして寝起きもあってか、いつも以上にみょうじの表情がふにゃふにゃじゃ。なんというか、物凄く幸せそうな顔をしちょる。

とりあえず、みょうじの手を引いてバスを降りる。それで他の連中の目もあるから、手はすぐに離すだろうと思ってたんじゃが…みょうじが手を離す事はなかった。



「の、のぅ…みょうじ」

「ん〜? どうしたの?」

「い、いや…なんでもなか」

「ん? ん〜ん?」

「ふふふ、ほら二人とも集合だって

「お、おう」



ま、周りからの視線が痛い。
だからといって、みょうじの手を離す気にはなれん。

それにまだ眠いのかむにゃむにゃと欠伸をしながら、俺に手を引かれているみょうじを見る限り…嫌がってもいないしのぅ。

しかし、この光景に周りのざわめきは止む事はなく…結局、教師の説明が終わり、自分の荷物を部屋に運ぶように指示されるまでずっと手を繋いでいた。


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