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そして青学との挨拶を無事(?)に済ませて、みょうじからというビニール袋の中身を確認する事になった。
「差し入れとかッスかね?」
「ビニール袋の差し入れとか、あいつの女子力低過ぎだろぃ」
「いや、差し入れ持って来てくれるだけ有り難い事だろ」
「じゃあ一気に出さずに1つずつ出すよ」
「本当に大丈夫なのか?」
「あぁ、そうしてくれ」
そして何故か、みょうじの持って来た物がなんなのか予想が出来ず、警戒するブンちゃんと真田。
もちろん、警戒する必要はないとわかっちょる俺達はただただ袋を見つめた。
そしてこれに決めた!と言わんばかりに幸村が袋から取り出した物を机にドーンと置いた。
それを見て言葉を失う面々。
「ば、絆創膏…ですかね?」
「いや、ただの絆創膏ではないみたいだぞ」
「いや、どう見たって絆創膏だろぃ」
「ふふふっ…"おっかない子へ ちゃんと手当てしないと心配するよ"って書いてあるね」
「おっかない子…赤也か」
「へ? 俺ッスか?」
「まず、絆創膏を必要としている怪我をしているのは赤也だけだろう」
「ふふっ、赤也で間違いないよ」
そして絆創膏の箱に書いてある文章を笑いながら見せてくる幸村に、箱をよく見れば赤也のイラスト入りで吹き出した。
いや、似とるんじゃが…なんで角と牙が生えとるんじゃ。あの試合でみょうじの中で、赤也のキャラが鬼になったんか。
そして次に出て来た、真田のイラスト入りの湿布で更に吹き出す事態になった。
いや、確かに膝を痛めてたが…それ以上にイラストの破壊力が半端ない。
「お、お腹痛い。やっぱりみょうじさんって面白い」
「並べるとまさに鬼の親子ですね」
「真顔やめろ、マジで笑うから」
「い、いいッスから次いきましょうよ次!」
「わかったわかった、じゃあ次はこれ!」
赤也と同じ様に角と牙が生えた真田のイラストに笑い過ぎて、疲れているブンちゃんと幸村に痺れを切らせた赤也が次!と急かす。
そして出て来たのは、まさかのノートだった。
いや、誰宛かはすぐにわかるが…なんで急にノート?と思ったが、メモの言葉に納得した。
"柳くんへ 試合観ながらいっぱいなにか書いてたね"
「ふっ、みょうじらしいな」
「ちゃんと差し入れですね」
「今のところ、要らないもんがないしな。有り難いな」
「いや、わかるけどよぅ。差し入れは、もっとこう…華やかなもんだろぃ?」
「ブンちゃんは、文句言い過ぎナリ」
相変わらずブンちゃんは我儘というか、細かいナリ。
そもそも、何かを貰えた時点で感謝するべきじゃ。
さっきまで不満そうだった赤也でさえ、なんだかんだで絆創膏を大事そうに持っとるくらいじゃし。
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