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跡部部長達を見送ってから、ゆっくりと未だに自分の世界に入って泳いでいるみょうじの元に向かう。
さすがにプール練の後で、水着を着ているのでゆっくりとプールに入ると、さすがに気付いたのかみょうじが振り向いた。
「あれ?日吉くん、どうしたの?」
「俺も残る事にした」
「…?そうなの?でも結構ハードな練習だし、無理しない方がいいんじゃないかな」
「別に練習するとは言ってないだろ」
「へ?」
「最近、ずっと下校時刻ギリギリまで泳いでいるらしいな。水泳部の先輩達も残る事は稀らしいし、また1人で帰ってるんだろ?」
俺の言葉に目をパチクリさせたかと思うとあぁ〜…なんて言いながらバツが悪そうに俺から目を反らした。
夜に忍び込んでいる事を知った日からは俺がいれば一緒に帰る様にしていたし、最終的に家まで送る様にはなったが…プール練が始まってからは、みょうじと一緒に帰った覚えがない。
というのも、プール練がない時もみょうじが残っているのは知っていたがその時は水泳部の先輩達もいると思っていたからだ。だから、まさかずっと1人で残っていたとは思ってもなかった。
それにプール練がある時は、なんだかんだでみょうじが心配なのか何かと理由を付けて跡部部長が残っていたりしていたので心配はしてなかった。
ちなみに跡部部長がみょうじを送ると言ったら何故か本気で断られたらしく、地味にショックを受けていた。
「何度も言うが、あの道を1人で帰るのは余り感心しない」
「日吉くんは、相変わらず心配性だね」
「お前が何も考えなさ過ぎなだけだ。どうせ、水泳部の先輩達には家が近いから大丈夫だとでも言ってあるんだろ?」
「ははっ、バレた?」
「普通に考えたらおかしいだろ。あの距離を知っていたら、さすがに夜に忍び込むのを許可したりしないだろ」
「ははっ、先輩達も心配性だから。でも本当に大丈夫だって、今までだって何もなかったし」
「何かあってからじゃ遅いだろ」
相変わらず、危機感を持っていないみょうじの物言いに少しイラつく。何度もみょうじを家まで送っているからわかるが、もちろん距離も問題だがみょうじの家までの道はあからさまに人通りも外灯も少ない。
慣れていると言われてもそんな道を1人で帰すのはやはり心配だ。まぁ、だったら俺が毎日送ればいいだけの話なんだが。
…………。
「もう面倒臭いからこれからは、俺に素直に送られろ」
「え、なんでそうなったの?」
「そうでもしないと1人で帰るだろ。ちなみに疲れてるだろうからいいよとか言っても無駄だからな」
「うわぁ…日吉くん強引」
「頑固なお前が悪い」
「えぇ?」
本気でなんでそうなったのかわからないと言わんばかりの顔をしているみょうじに呆れつつ、前も送られてたんだから今更だろと水を掛けると、いきなり酷い!とか言いつつみょうじは笑っていた。
本当に今更だが、最初から俺が送ってやればよかっただけの話だった。
※帰り道
(そういえば、跡部部長に送ると言われて本気で断ったらしいな)
(別に本気って事はないけど…)
(送られるくらいならもう残らないと言ったらしいな)
(だって送られる理由ないし)
(むしろ、送られる理由しかないだろ)
(うーん…やっぱり残るのやめようかな)
(本当に極端だな)
(だってあたしに付き合わせるの悪いし)
(そういうところは気にするんだな)
(そりゃあね)
(まぁ、今更だろ。俺に送られるのは)
(そういう問題かなぁ)
(そういう問題だ)
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