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結果だけいうなら、俺達は負けた。

正直、かなりショックじゃった。自分も負けた身だが、それ以上に幸村の負けが衝撃的過ぎた。

だが、すまなそうに眉を下げているのに満足そうな幸村を見たら、そんなもんは吹き飛んだ。



「いい試合だったぞ、幸村」

「あぁ、今まで見た中で一番の試合だった」

「ふふ…ありがとう」

「おいばか、赤也泣くな」

「だ、だってぇ…!!」

「ごめんね、赤也」

「うっ、うわぁ〜ん! ぶちょーー!! かっこよかったッスー…!!」



泣きじゃくる赤也と、そんな赤也に釣られ泣きしそうなブンちゃんに赤也に飛び付かれて小さく笑う幸村。

試合には負けたが、どこかスッキリとした気分じゃな。

負けたからと、しんみりとした空気にならずに済んだのはよかった。

しかし、負けは負けじゃ。
俺等の優勝を期待をしていた者からの、突き刺さる様な視線や心ない言葉に気が滅入る。

別におまんらの為に、テニスをしとる訳じゃないんじゃがな。

そんな事を思いながら、居心地の悪い注目を浴びながら表彰式に出た。


そして、表彰式も無事に終わり青学の連中が改めて挨拶をしに来たんじゃが…



「はい、これ。なんか、ここに来る前に立海のみんなに渡して下さいって渡されたんだけど」

「どんな子だった?」

「オレンジの毛色で小柄な女の子だったかな」

「そう、ありがとう」

「・・・知らない人物なら受け取らない方がいいんじゃないのか?」

「いや、あの顔を見るに知り合いだったみたいだ」



無駄な心配をしている手塚をよそに、不二からビニール袋を受け取る幸村。

まぁ、髪がオレンジで小柄で俺等にってなれば…間違いなくみょうじじゃろう。

そういえば、試合に負けたせいで全くみょうじの方を見れなかったんじゃが、もう帰ったんか。また挨拶しに来てくれるかと思ったんじゃが。



「ねぇ不二、その子は他になにか言ってなかった?」

「ふふ、優勝おめでとうって」

「おい不二このやろう」

「いや、落ち着けよ…ブン太」

「それと、"でも立海のみんなの方がかっこよかった"って言ってたかな」

「よく言った! さすがみょうじだぜぃ!」



いや、優勝を祝う言葉を青学に言ったかと思ったら…まさかディスるとは。

じゃが、みょうじの事だから普通に悪気もなく言ったんじゃろうな。

そして、何故か嬉しそうなブンちゃんと声を出して笑ってる幸村である。

そんな幸村を手塚が心底不思議そうな目でいたが、もはや誰も突っ込まなかった。


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