07*(3/4)
部活も終わり、着替えをしているとみょうじから受け取った弁当の包みが目に入る。
そういえば、これ…どうすればええんじゃ? さすがに帰宅部じゃし、もう家に帰っちょるだろうし。
じゃが、休み明けに返すのはどうなんじゃ? 失礼なんじゃないんか?
「おや? 急に動きを止めてどうしました、仁王くん?」
「ん〜なになに?」
「い、いや…」
「…はは〜ん。なるほどなるほど」
「ニヤニヤするんやめんしゃい」
「蓮二、ケータイへい」
「あぁ、任せろ」
「なっ…ちょ、何をする気じゃ!」
弁当の包みを見るなりニヤニヤとする幸村に嫌な予感を感じたが、既に遅く…俺の携帯を参謀へ投げ渡すと俺の行く手を遮った。
それを見ていたブンちゃんも何かを感じ取ったのか、幸村の加勢に入る始末じゃ。
そしてそんな俺等をよそになんの躊躇もなく、俺の携帯でどこかへ電話を掛けている参謀。
もはや、どうにでもなれじゃ。
「うむ。もういいぞ」
「どうだった?」
「ふっ、ばっちりだ」
「ははっ。よかったね、仁王」
「いや、なんにもよくないんじゃが」
「で? 何がどうなってんの? とりあえず、空気読んだけど」
「みょうじに連絡した。仁王、今からでも土日でも、いつ来ても大丈夫だそうだぞ」
な、何をしとるんじゃ。
というか…なんでみょうじの電話番号を知っちょるんだ!?
いや、そこは参謀の事じゃからおかしくはないのか?
そしてそんなテンパる俺に幸村は、ニコニコと鼻唄が聞こえて来そうなくらい嬉しそうに笑っている。
面白がっとるじゃろ。
「ふふっ。明日、部活後にゆっくり会いに行きなよ」
「ただ、弁当箱を返しに行くだけじゃろ!」
「いやぁ、あの仁王先輩が…青春ッスね!!」
「でも相手はあのみょうじなんだよなぁ」
「みょうじさんは、とても素直で良い方ですよ?」
「でもあの変わった人ッスよね? いっつもぴょこぴょこして忙しない人!」
「いや、それは赤也にだけは言われたくないと思うがな」
はぁ・・・。
着替えを早々と済ませてバタンとロッカーを閉め、相変わらず騒いどる連中にお疲れさんと一応言ってから部室を出た。
別に嫌な気分にはならんが、やっぱりああいう雰囲気にはまだ慣れん。
じゃが、少し態度が悪かったかのぅ? そんな事を思いながら、参謀から返された携帯を確認するとリダイヤルは綺麗さっぱり消えとった。
・・・ケチか。
番号が欲しければ、みょうじに直接聞けと言われちょる気分じゃな。
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