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相変わらず、みょうじを探すがなかなか会えずにいる。もちろん、体育の授業があれば授業後にサボる事も出来るが、さすがに毎回待ってるのも気が引ける。

出来る事なら毎回、一緒にサボりたいくらいなんじゃが…あんまりしつこくして嫌がられても嫌じゃからのぅ。

そんな事を思いつつ、ぼーっとしとったら不意に肩を叩かれてゆっくりと振り向くと頬に冷たい何かが当たり、思わず目を見開いた。



「へへっ〜におーくん!」

「なっ…みょうじ、か?」

「へへ、みょうじですよ〜。これ、いつもの牛乳のお返し!」

「わざわざ、教室まで来たんか」

「うん!いつも、におーくんが待っててくれるから、今日はあたしが来てみました!」

「ほーか」

「でね、ひとりぼっちが寂しかったらいつでも言ってね!あたし、体育以外ならサボっちゃうから!」



まさかに言いたい事だけ言うと、じゃあねー!と手を振りながら教室から出て行くみょうじの背中が見えなくなると同時に隣にいたブンちゃんが自由かよぃ…と呟いた。

そして俺の机に置かれた、いちご牛乳と書かれたピンク色の紙パックを手に取るとそこには、"におーくんへ"とマジックで書かれていた。

その隣には、俺に似せて描いたであろう猫のイラストまであった。



「随分と嬉しそうだな」

「みょうじから俺のところに来たのは、初めてじゃき…仕方ないじゃろ」

「しかもプレゼント付きだろぃ?ま、いちご牛乳だけどな」

「追い掛けて大丈夫じゃろうか?」

「大丈夫だろぃ。つーか、あいつ脚はおせーけど隠れんの上手いから行くなら早く行った方がいいんじゃね?」

「ん、行って来るナリ」

「おー、がんばれよー」



ブンちゃんの言葉にコクりと頷き、みょうじから貰ったいちご牛乳を持って急いで教室を出た。

廊下にそこまで生徒は、いないが既にみょうじの姿はなくとりあえず、みょうじのクラスへと向かうと奇跡的に教室から出て行くみょうじを見付けてそのまま後を追った。

相変わらず、脚は遅い上に今にも転びそうでこっちがハラハラする走りをしていて思わず、階段前で腕を掴んでしまった。



「んっ!あれ?におーくんだ」

「お前さんは、危なっかしいんじゃから階段はゆっくり降りんしゃい」

「えっ?んー…わかった!」

「ならよか。階段から落ちたりしたら大変じゃろ」

「そうだね!この間も落ちたばっかりだった!」

「落ちたんか!?」

「えっ、うん。さまだくんから逃げててズコーンって落ちっ…わぁ!」

「怪我はしたんか!?」



みょうじの階段から落ちたという言葉に思わず、みょうじの肩を掴むと、全然大丈夫だよ〜!と少し焦った様にみょうじが笑い、ゆっくりと肩から手を放した。

じゃが、よく見れば膝に大きなガーゼを貼っていて、どう見ても大丈夫じゃなさそうじゃ。

とりあえず、もうチャイムが鳴るって言うのに教室から出て来たって事はサボるんじゃろうと、みょうじの腕を引くとなにも言わず素直に後を付いて来てくれた。


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