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03*(3/4)


更衣室の近くじゃから、少し視線が痛いが…幸村に言われた通りに自販機の前で暫く待っていると着替えを終えたみょうじが自販機へと駆けて来ると俺に気付いたのか目が合うとパチクリと瞬きをした。



「あっ、におーくんだ」

「ほぅ、覚えてたんか」

「前にちょっとだけ、お話ししたからね〜。におーくんもジュース?」

「いや、お前さんに用があっての。ほれ、好きなの選びんしゃい」

「買ってくれるの?わーい、ありがとー」



俺が用があると言った事に不思議そうに頭を傾げたが、自販機にお金を入れるとへらりと笑いながら嬉しそうにボタンを押した。

そして出て来たのは、幸村が言ってた通りの紙パックの牛乳だった。

体育終わりに牛乳とは、本当に変わった奴じゃな。普通は、もっとこう…さっぱりしたもんを買いそうじゃが。

みょうじは、自販機から牛乳を取り出すと早速ストローを挿してちゅーちゅーと飲み始めた。



「ぷはぁ〜。やっぱり牛乳は美味しいなぁ!」

「そりゃよかったのぅ」

「それでにおーくんは、あたしに何か用があったの?」

「まぁ、ちぃとばかしな。次の授業は、サボらんのか?」

「んん〜っ!さぼる!」

「一緒に行ってもよか?」

「うん、別にいいよ〜。じゃあ、教室に荷物置いてくるから先に行っててくれる?」



そう言いながら肩に背負っているバッグを見せて来たので、ゆっくりと頷くとじゃあねこさんのところね!と笑うと手を振りながら教室へと駆けていった。

とりあえず、校舎裏に行く前に軽く保健室から応急手当が出来るもんを貰って来るかの。

傷口は洗ったのか綺麗になっとったみたいじゃが、みょうじの膝には血が滲んどったし。手当ては、しとらんみたいじゃったからの。


それにしても、まさか俺の名前を覚えとったとは思わなかったぜよ。真田の名前を間違えて覚えてたり、幸村や参謀の話を聞く限り人の名前を覚えたりするのは苦手なんかと思っとったんじゃが。

案外そうでもないんかのぅ。

まぁ、頭脳明晰って話じゃからな。名前くらい覚える気になれば、すぐに覚える感じなんかのぅ。

つまり、それなりにみょうじは俺に気を許してるって事なんじゃろうか。一応、知り合いらしいブンちゃんや参謀の名前は覚えとらんみたいじゃし。


そんな事を考えつつ、保健室に寄って軽く応急手当が出来るものを貰って校舎裏に向かった。


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