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そして放課後になり、ともだちになにか進展あったらすぐに教えてねー!と無駄に元気に手を振られながら、プールへと向かった。
ちなみにテニスコート集合にしなかったのは、跡部さんなりの配慮らしい。まぁ、あんな騒がしいコートで説明されても頭に入らないしね。
それに正直、テニスコートには行きたくなかったから凄く有り難い。
そしてあたしは、どんだけ早かったのか一番乗りでプールに着いたのだった。まぁ、鍵が開いてたから勝手に入って待ってたから別にいいけど。
暫くして先輩達とテニス部のレギュラー(跡部さんが言ってた)が集まり、跡部さんがプール練及びあたし達の説明をした。
なんかテニス部のレギュラーがいない時は、ただの水泳部の部活みたいな感じだなぁ。まぁ、有り難いけど。
「説明は以上だ。何か聞きたい事はあるか?」
「あの1つだけいいですか?」
「なんだ?」
「今日は、プール練に使うんですか?」
「いや、今日は使わねぇと言うか使えねぇ。水着がねぇからな」
「じゃあ、あたし達が使っていいんですよね?」
あたしの言葉に水泳部の先輩達がまた始まったよ…と言わんばかりに頭を押さえているが、無視である。
あたしからしたらプールが使えるのに泳がないとか有り得ないんで。むしろ、今すぐ飛び込みたいくらいだし。
ていうか、目の前にプールがあるのにそのまま帰れとかある種の拷問な気がする。そして跡部さんの返事をウズウズしながら待っていると、勝手にしろと言われた。
その瞬間、ありがとうございます!と頭を下げてからジャージを投げ捨ててプールに飛び込んだ。
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みょうじが跡部部長に勢いよく頭を下げたと思ったら、走りながら器用にジャージを脱ぎ捨てると綺麗にプールに飛び込んだ。
「うわっ、ジャージでいるからまさかと思ったけど…マジで水着着込んでたよ」
「まぁ、みょうじは泳がないと死んじゃう病だから仕方ない」
「アーン?あいつは、マグロかなにかか」
「おいおい、跡部ともあろうヤツが下ネタはよくないぜ?」
「プールに蹴り落とすぞ」
「うは、キングこえー!」
そしてみょうじが泳いでいる事がさも当たり前のように笑っている水泳部の先輩達に跡部部長がハァ…と溜め息を吐きながら不満がありそうな目で俺の方を見た。
まぁ、俺が提案者だからな。
こんな話は聞いていないとでも言いたげな跡部部長にちょっとだけ気分がよかった。
そして軽く泳ぎ終わったのか、プールから上がったみょうじが走って戻って来て、水泳部の先輩達以外の俺達は思わず顔を反らしたのであった。
(す、すいません!我慢出来ませんでした…)
(ぶはっ、謝るなら飛び込むなし!)
(だ、だって…目の前にプールですよ!?)
(まぁ、みょうじなら飛び込むよな)
(あ、跡部さん…話の途中ですいません)
(…い、いや、別に構わねぇが)
(おい、跡部…プール練の時こいついるんだよな?)
(集中出来る気がしねぇんだけど…)
(せやなぁ…女の子やしなぁ)
(え、なにかあたしに問題でもありました?)
(い、いや…お前に問題はねぇが)
(みょうじの水着姿に問題があるんだと)
(え、見苦しい的な?でも、すいませんけど慣れて下さい)
(クッソ!みょうじが通常運転過ぎる!)
(なにがですか?泳ぎなら絶好調ですよ!)
(いや、そうじゃねぇよ!この水泳バカめ!)
(え、ありがとうございます!)
(いや、誉めてねぇけどな!)
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