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◆◇◆◇◆
そしてお昼になり、若くんと約束をしていたテニスコート近くのベンチに座り待っていると暫くして若くんが小走りで向かって来た。
「遅れてすみません」
「ううん、大丈夫だよ」
「お詫びに飲み物買ってきたんですが、どっちがいいですか?」
「そこまで気にしなくていいのに」
「じゃあ、なまえ先輩に飲んで欲しかったんで買って来ました」
「ははっ、ズルいなぁ。じゃあアイスティー貰おうかな」
「どうぞ」
あたしがアイスティーを受け取ると若くんは、満足そうに薄く笑った。
なんか、やっぱりあたしってズルい女な気がするなぁ。でも、慈郎くんも若くんも友達からって事で、落ち着いて…こうしてたまに過ごしてる訳だし、いいのかなぁ。
だけど、なんだか2人を弄んでいる様な気がして、たまに罪悪感に襲われる。
もちろん、2人の告白は断った訳なんだけど…それでも諦めないと意気込まれてしまった。
「どうかしましたか?」
「え、いや…ううん」
「もしかして、俺や芥川さんに悪いとか思ってるんですか?」
「え?」
「浅香さんから聞きました。なまえ先輩が俺等の事を凄く気にしてるって」
ちょ、よりによってなんで若くんにそんな話をしちゃうんだ。いや、まぁ…ともだちなら言っちゃうかなぁ。
だけど、それを本人に知られるとそれはそれでなんか恥ずかしいやら申し訳なさが込み上げてくる訳で…
それに2人に何かを言われた訳じゃないけど、やっぱり端からみたらあたしが2人をキープしてる様に見えるだろうし。
「俺は、気にしてないですよ。むしろ、前みたいに遠慮せずにこうして一緒にいれますし」
「…そんなはっきりと」
「もちろん、なまえ先輩が嫌だったりしたら控えますよ。図書室で定期的に顔は合わせられますし」
「あたしは、嫌とかないけどさ。むしろ、若くん達が嫌じゃないのかなって」
「…?なんでですか?元から俺は、周りとか気にしないタイプですよ?前もなまえ先輩がテニス部が苦手だって言ってたから図書室以外での接触を控えてただけですし」
だから出来る事なら普通に話し掛けたりしたかったんですよ、俺は。と付け加えると綺麗に持った箸を口へと持っていった。
…確かに、若くんは別に周りは関係無いとか言ってた気がする。自分がしたい事をして、ファンクラブの連中に文句を言われる筋合いはないとかなんとか。
でも本当にいいのかなぁ。
そんな事を思いながら、たまに若くんとおかず交換をしつつお弁当を食べた。
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