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そして煽りに煽られた若くんは、ゆっくりと深呼吸をするとあたしを見つめた。

あ、これ…覚悟を決めた目ですね。さすがのあたしにもわかりますよ。



「なまえ先輩」

「う、うん」

「正直、かなり不本意ですが…言われたい放題言われっぱなしも嫌なんで言わせて貰います」

「・・・・・」

「…なまえ先輩が、好きです」

「あ、ありがっ…うわぁ」

「ダメだC〜!なまえちゃんを好きなのは俺だもん!!」

「なっ…ちょっと芥川さん離れて下さい。そもそも、なまえ先輩を好きだからって芥川さんのものじゃないですからね!」



恥ずかしそうに想いを伝えてくれた若くんには、悪いけど…なんかもう逃げたいよ、あたしは。これが本当の公開処刑ってやつだよね。

いや、気持ちは凄く嬉しいんだけど。しかも慈郎くんに飛び付かれてお礼も言えなかったんだけど、大丈夫なのだろうか。

そして爆笑してる方達は、なんなんだろう。やっぱり、テニス部は苦手のままでいた方がよかった様だ。



「それでみょうじはどうするんだ?」

「えっ…ど、どうって」

「なまえ!一思いに振っていいんだよ!!」

「ちょっとともだち!!」

「そこは、はっきりさせねぇとな。俺様には、どんな答えでも関係ないがな」

「煽ったクセに無責任やなぁ」



本当だよ。というか、凄いまた慈郎くんと若くんが睨み合いをしてるんだけど…この空気のまま、普通に答えていいのだろうか。

でも、慈郎くん辺りはあたしが何も言ってないから勘違いしてる可能性もあるからね。

うん、頑張ります。



「え、えと…2人の気持ちは嬉しいんだけど、そういう目で見てなかったっていうか」

「・・・・・」
「・・・・・」

「あ、いやっ…そんな顔しないでくれるかな。別に嫌いって訳じゃなくて…」

「なら、これからは意識して貰えるって事ですよね?」

「えっ」

「これから好きになって貰えばいいC〜!大丈夫!!」

「今更、諦めるつもりはないんで覚悟しといて下さい」



え、いや…う、うん。

とってもいい笑顔の慈郎くんと若くんに頷くしかない、あたし。

どっちにしても、あたしはこの2人から逃げられないらしい。むしろ、どっちに落ちんだろうな〜なんて言ってるこのテニス部の人達から逃げられないと思う。

とりあえず、これからもよろしくお願いしますと意味深に笑う若くんと俺も俺も!と笑顔な慈郎くんにあたしも覚悟を決めて、こちらこそと笑った。



(じゃあ今日一緒に帰りませんか?)
(え、別にいいっ…)
(俺もなまえちゃんと帰りたいC〜!)
(今のは日吉が早かったから諦めな)
(む、むぅっ…!)
(ちょ、私は!?なまえと帰りっ)
(お前は俺と帰ればいいだろ)
(せやなぁ。邪魔はしたらあかんで)
(好きにアプローチして構わねえが、みょうじを余り困らせるなよ)
(わかってますよ)
(わかってるC〜!)
(ま、まぁ…なまえ頑張れよ!)
(なんか前より大変になった気がする…)

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