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そして、まぁ…俺はジローにちょっと話聞くから、お前は日吉の話聞いてやってくれと言うと、向日くんは慈郎くんの腕を引いて少し離れた場所へ移動した。
「みょうじ先輩」
「えと、さっきはごめんね?」
「いえ、それでなんで名前呼びになってるんですか。芥川さんに無理に呼ぶ様に言われたんですか?」
「ううん、無理じゃないよ。名前で呼んで欲しいって言われて、別にいいかなって」
「・・・・・」
「へーんだ!だから、なまえちゃんが呼んでくれたって言ったんだC〜!」
うわぁ…なんか日吉くんの顔が凄い事になってる。ていうか、慈郎くんと日吉くんってこんなに仲悪い感じだったの?むしろ、あたしのせいで仲悪くなってる様な気がしないでもない。
日吉くんはアレかな…あたしが慈郎くん呼びしてるが嫌なのかな。ていうか、そうとしか考えられないよね。
うーん、どうすればいいんだ。さすがに日吉くんが嫌みたいだから慈郎くんって呼ぶのやめるねとは言えないし。ていうか、それは普通にあたし的にも有り得ないけど。
「俺の方が知り合ってから長いのにおかしくないですか」
「えっ!!」
「俺も名前呼びがいいって言ったら呼んでくれるんですか」
「えっ、うん。別に日吉くんがいいなら…若くんでいいかな」
「…はい。じゃあ先輩も名前呼びしていいんですか」
「う、うん?別に構わないけど」
「…じゃあなまえ先輩で」
「う、うん」
なんだこれ。日吉くん…改め、若くんってこんなキャラだったっけ?最初に会った時から不思議な子だとは思ってたけどさ、もっといつもクールだよね。ていうか、冷静だったよね。
え、ただの名前呼びくらいでこんなに感情を表に出しちゃう子だったの?
いや、なんか若くんが嬉しそうだからいいか。その代わり、めちゃくちゃ慈郎くんが不満そうに口尖らせてるけど…いや、これ以上どうしろっていうんだ。
「なまえ先輩はズルいですね」
「ん〜、そうかもしれない」
「えっ…自覚あるんですか」
「さすがにそんなに鈍くないよ、あたしも」
「じゃあ芥川さんとは」
「仲直り?しただけ。友達になった感じだよ」
さすがにここまで露骨に嫉妬丸出しで来られたら、普通に気付くよ。しかも、相手はあの冷静沈着だった若くんだし。
正直、慈郎くんに関しては友達としてなのか恋愛対象としてなのかまだわからないけど…それでも好かれてるっていうのは嫌でもわかるからね。
それにしても、目の前で赤く染まった顔を隠すように頭を抱えている若くんをどうしよう。
いや、あたしもかなり恥ずかしいけどね。気付かなきゃよかったよ、うん。やっぱり漫画でよく出てくる鈍感ヒロインって、色々と本当に凄いんだなと改めて思った。
(い、いつからですか)
(…いや、今さっき)
(・・・・・)
(だ、黙らないでよ)
(もっと鈍感だと思ってました)
(いや、あれは…気付くよ)
(・・・・・)
(で、でも若くんから聞いた訳じゃないから)
(もう言った様なもんですよ)
(そんな自暴自棄にならなくても…)
(…なりたくもなりますよ)
(な、なんか…ごめん)
(余計に恥ずかしいんでやめて下さい)
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