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・・・本当に素直だなぁ。
もちろん、良い意味でも悪い意味でも。
「芥川くんは、あたしと話がしたかったんじゃなかった?」
「えっ…う、うん」
「でも話し掛けなかったら、話は出来ないよね」
「でも…俺が話し掛けたらっ…」
「確かに、まだ周りからの目とか色々と不安だし怖いけど…いいよ、話し掛けても」
それにこんなに悲しそうな顔をされたら、"話し掛けないで"なんて言えないし。そもそも、別にあたしは芥川くんと話をしたくない訳じゃないし。
ただ、周りが怖いだけであって芥川くんが嫌だとかじゃないからね。
そりゃあ、芥川くんには色々と振り回されっぱなしだけど…それを本気で嫌だとか迷惑だとか思った事はないし。
「…ホ、ホントに?」
「うん」
「っ、なまえちゃん!ありがとっ…!!」
「わ、わぁっ!あ、芥川くんっ…」
「え、あっ…ごめんっ!!う、嬉しくて…つい。ご、ごめんね?」
「ここなら誰にも見られてないだろうし、大丈夫だよ」
嬉しそうに飛び付いて来た芥川くんだったけど、すぐに申し訳無さそうにあたしから離れると、不安そうな顔をした。
もちろん、ビックリはしたんだけど…なんか、前までは結構好き勝手されてた分なんだか不思議な感じだ。
それにしても、芥川くんは本当に色々と分かりやすい。顔にすぐ出るし、思ったら口より体が動くっていうか…本当に素直な性格だと思う。
それに不思議と芥川くんは、悪気はないんだろうなぁって思うし。
「あ、あのね…なまえちゃん」
「ん?」
「俺の事、名前で呼んで欲C〜なって」
「え、名前?」
「えっ、いや!無理ならEー!全然気にしないC!!」
えーと、芥川くんの名前は確か…慈郎くんだったかな?そういえば、芥川くんは最初っからあたしの事を名前呼びしてたっけ。
そして全然気にしないと言いつつ、めちゃくちゃソワソワしている芥川くんに笑ってしまった。それに、こう面と向かって名前で呼んで欲しいと言われたのは初めてかもしれない。
だからかな、ちょっと嬉しい。仲良くしたいんだなぁ〜って気持ちが伝わって来るっていうか。まぁ、今更名前呼びくらい気にならないから全然いいんだけどね。
「慈郎くん」
「!!!」
「これでいいかな?」
「うん!うんうん!!それがEー!!」
嬉しそうに何度も頷く芥川くん改め慈郎くんに笑うと、釣られる様に慈郎くんもへへっと嬉しそうに笑った。
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