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そしてざわついていた教室も芥川くんが一体何を言い出すのかと、怖いくらいに静まり返っていた。
「"お、俺…ファンなんていらない!"」
「ちょ、あいつっ…!」
「こら、ともだち…静かに」
「"なまえちゃんは、悪くないのに!俺の話、全然聞いてくれないC!いつも俺の周りにいる子達かわからないけどっ"」
「・・・・・」
「"なまえちゃんに酷い事する奴は嫌いだ!そんな奴、いらない!だから、だからっ…"」
あぁ、泣いてる…の、かな?
スピーカー越しに聞こえてくる芥川くんの声は、震えていて…時折鼻を啜る音まで聞こえる。
それでも必死に"ファンなんていらない!"と"もう俺に構わないで"と訴えていた。
端から聞いたら、かなり酷い事を言っている気がするが…それでも芥川くんは、思っていた事を吐き出す様に言葉を紡ぎ続けた。
しかし、それも長く続く訳もなく…先生方が放送を止めに来たらしく芥川くんの声と先生達の言い合いが始まったと思ったら、ブツリと放送が切れた。
その瞬間、ゆっくりと立ち上がり…ともだちと麻衣子にちょっと行ってくるね。と笑って教室から飛び出した。
ははっ…本当に芥川くんには、振り回されっぱなしだなぁ。
というか、最後に聞こえた芥川くんの言葉に放送室へと向かわざるを得ないというか…。
"なまえちゃんとちゃんと話したいのに!"
ちゃんとってなんだろう?とは、思ったけど…確かに芥川くんとはまともに話をした気がしないなぁ。
いっつも寝てたし。基本的に芥川くんが何か言って、強制的に合わせられるみたいな感じだったし。
それに…あたしも全然、芥川くんと話をしようとしてなかったな…と。いくら、苦手意識があったからってちょっと酷かったかなぁ…なんて。
もちろん、芥川くんと話すのはまだ抵抗はあるし…怖い。またトイレに閉じ込められたりするかもとか、嫌がらせされるかもとか、色々と思う事はある。
だけど、それを全部芥川くんのせいにして避けるのは違うと思う訳で…
日吉くんには、先輩は甘いです!ってまた怒られちゃいそうだな。
忍足くんにもう芥川くんと関わりたくないと思ってるか?って聞かれた時…あたしが"そんな事はない"って答えた時も凄く怒ってたし。
そもそも、全く相手の事を知らないからこそ…関わりたくないって思ってた訳だし。もちろん、テニス部って事もあったけど。
だから、やっぱり少しでも関わった人にもう関わらないで!と突き放す程、あたしは非道にはなれない。
ましてや、こんな大胆な事をしてまで話したいと訴えている人に関わらないで!と言える人の方が少ないと思うし。
そんな事を思いながら、放送室へ向かってる間、あたしは芥川くんの事をずっと考えていた。
※教室
(ともだち!大丈夫か!?)
(亮!てか、私よりなまえだから!)
(そのなまえは!?)
(放送室…多分、芥川んとこに行った)
(マジかよ!?)
(てか、がっくん達何してた訳?バカなの?)
(ジローがいねぇのなんて珍しくねぇし!)
(今日くらい監視しとけよ!)
(…いや、滝が大丈夫だって言ってたからよ)
(慈郎が自分で動かなきゃ意味ないからね)
(お、お萩!!お前の仕業かよ!!)
(さすがにこの放送には驚いたけどね)
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