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鳳とがっくんに連れられて、部室に行くと中には部活ノートを書いている滝がいた。
そして俺等が来たのに気付いた滝が何かあったの?と頭を傾げながら椅子から立った。
「えっ…慈郎、その頬どうしたの?誰かに叩かれたの?」
「とりあえず、手当てしてやってくんね?俺等もよくわかんねぇーつーか」
「う、うん?慈郎、冷やすからおいで」
何も言えず、ゆっくりと滝の方に行くと大丈夫?と眉を下げた滝が俺の腕を引いて椅子に座らせてくれた。
全然、大丈夫じゃない。
正直、頬っぺたなんてどうでもいい。きっと、叩かれて当たり前の事を俺がしたんだもん。
そんな事を思っていると滝がアイスノンを持って来て、渡してくれた。
「それで何があったの?」
「あー…なんつーか、ジローのファンがなまえになんかしたらしくてよ。それでともだちが怒って、ジローを殴りに来たみたいな?」
「その浅香さんは?」
「宍戸と侑士が連れてった」
「そっか。じゃあ、わかる範囲でいいからもう少し詳しく教えてくれる?」
滝の言葉にがっくんと鳳が俺の代わりに浅香が来てからの事を話してくれた。
それに頷きながら話を聞いている滝は、少し怒ってる様でいつもの優しい顔じゃなかった。
そして話を聞き終わると今度は、俺の方をゆっくりと向いた。
「一応確認するけど、慈郎はファンの子に何か言ったりしたの?」
「…してない」
「そっか。じゃあ何で急にファンの子がそんな事したかわかる?」
「…わかんない。なまえちゃんの事、女の子に話してないもん」
「じゃあ質問を変えるね。慈郎は、みょうじさんと何かあった?ちょっと喧嘩したとか、言い合いをしたとか」
「喧嘩も言い合いもしてない」
だから、なまえちゃんは何も悪くない。
なまえちゃんが怖いって言うから話さない様にしてただけで、別に喧嘩したとかじゃない。ただ、なまえちゃんを見ると話し掛けたくなっちゃうから…避け方とか変な態度だったかもしれない…
だけど、なまえちゃんの事は何も言ってない。名前も出してない。
でも俺の中でなまえちゃんと何かあったって聞かれたら、それしか思い当たらなくてその事を滝に話すと滝に頭を撫でられた。
「…そっか。慈郎も慈郎なりに考えてたんだね」
「いやいや!絶対にそれが原因じゃん!なまえが嫌がらせされたの!!」
「た、確かに…急に芥川さんが話し掛けなくなったら、理由を知らないファンの子達からしたら不思議ですし…みょうじさんが芥川さんに何かしたのかと思うのが普通なんじゃないですかね…」
「でも、なまえちゃんがっ…俺といると怖いって言うから!だから…だから、」
だから、なまえちゃんから話し掛けてくれるまで我慢しようって思ったのに…
じわじわと叩かれた頬の痛みと一緒に視界が滲んで来て、グッと我慢する様にアイスノンを握った。
(な、ちょっ…泣くなよ!!)
(っ、ないてないC…)
(今、慈郎はどうしたい?)
(なまえちゃんに謝りたい)
(うん。他には?)
(意地悪するファンの子なんていらない)
(うん。じゃあどうするの?)
(なまえちゃんに意地悪させない)
(出来るの?)
(うん。出来る)
(そう。頑張るんだよ)
(えっ…何するか聞かないんですか?)
(慈郎が自分でやらなきゃ意味ないからね)
(いや、だからって…無謀じゃね?)
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