09*空に恋した向日葵(1/4)


叩かれた頬が痛い。ジンジンと熱を帯びていて、相当な力で叩かれたみたいで気付いたら尻餅を付いてた。



「お、おいっ!何してんだよ、ともだち!」

「亮は黙ってて!私さ、前に言ったよね?私の友達になんかあったらテニス部を許さないって」

「…なにかあったのか?」

「なまえがトイレに閉じ込められた。しかもびしょ濡れで!運良くなまえが携帯持ってたからいいけど、下手したら明日の朝まで出られなかったかもしれないんだよ?」

「はっ!?マジかよ、それ!」

「がっくんもうるさい。私は、芥川に話してんの!」



そう言いながら、うっすらと涙を浮かべた眼で俺を睨み付ける浅香に叩かれた頬がズキンと痛んだ気がした。

・・・・・。

なまえちゃんが…トイレに閉じ込められた。それにびしょ濡れって事は、水でも掛けられたのかな。

・・・それが俺のせい?

なまえちゃんが怖がらない様に…嫌われない様にって話すのも一緒にいるのも我慢してたのに?なんで?



「あんたが命令した訳じゃなくても、私はあんたのせいだって思ってるから」

「・・・・・」

「全部あんたが悪いとは言わないけど、自分の立場を考えてくれない?こっちは、あんたの行動と言動で敵と見なされていじめられたりするんだからね。わかってんっ…ちょ!」

「そこまでや、ともだちちゃん。ほら宍戸、手伝ってや」

「お、おう。とりあえず、ともだちは落ち着けって…ちょっとこっち来い」

「あぁ!?ちょ、離してよ!」



ずっと黙って様子を見てたおっしーが間に入ったかと思ったら、ズルズルと浅香を引き摺って行く。もちろん、離せと暴れてるけど宍戸も加わってそのまま部室の方に連れて行かれた。

だけど、俺は立ち上がる気力もなくて情けなく地面に座り込んだままだ。

なまえちゃんが、俺のせいで…酷い事されたんだ。



「お、おい…ジロー、大丈夫か?」

「がっくん…俺、どうしたらいいの?」

「ちょ、待ってって!えっと…よし、部室に行くぞ!ほら、立てって!鳳、手伝え!」

「っ…俺のせいで」

「芥川さん…とりあえず、部室に行きましょう?滝さんもいると思いますし」

「…うん」



正直、未だに騒がしいギャラリーとか気になんないくらいに頭の中でさっき言われた言葉がぐるぐるしてる。

困った様な顔をした鳳がゆっくりと俺を立たせてくれて、がっくんが他の部員に何か指示を出してる声がなんとなく聞こえた。


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