理由はまだ知らない (1/4)
水泳部が廃部になって3日が経った。最後に先輩達と泳げたのは嬉しかったけど、やっぱり悲しい。
やっぱり放課後は暇だし、本格的にバイトを探そうかと迷っている。
そんな事を思いながらともだちと一緒にお弁当を広げていると校内放送で名前を呼ばれた。しかもあたし以外に呼ばれたのが、まさかの水泳部の先輩達の名前で頭を傾げる。
水泳部は廃部だからいちいち名前で呼ぶのはわかるけど、なんでまた呼び出しをされたのかがわからない。
まぁ、とりあえず呼ばれたからには行かなきゃならない訳で、ともだちにちょっと行ってくると言ってから職員室に向かった。
そして職員室に着くなり、先輩達と跡部さんが目に入りなんだか憂鬱な気分になる。
「お、みょうじ来たか!こっちだぜ!」
「え、なにがですか?」
「また泳げるってよ!よかったな!」
「はい?えと…いまいち話がわからないんですけど」
「悪い悪い!えーと、じゃあ跡部から説明してやってくれ。元はテニス部が提案してくれた話だしな」
そしてあたしを見下す様に腕を組んで黙っていた跡部さんを見ると、何故か鼻で笑われた。なんだこの人、生徒会長でテニス部の部長だからっていきなり失礼過ぎじゃないかな。
まぁ、別にどうでもいいや。
そういう人なんだろうし。
とりあえず、跡部さんの話に黙って耳を傾けていたんだけど…えーと、なんでそうなったんだろう。
跡部さんの話は、水泳部をテニス部の傘下にしてやるとの事。まぁ、簡単に言えばテニス部の所属にはなるが水泳は出来るみたいな感じだ。
テニス部がプール練に使う時も別に使って構わないが、マネージャー的なポジションになるから何かあれば手伝うらしい。それでプール練がない時はあたし達、元水泳部のメンバーはプールを自由に使っていいとの事だ。
「…この提案、テニス部になんのメリットもないじゃないですか。それに廃部してから提案するとかおかしくないですか?」
「お、おい!みょうじ!」
「アーン?元々、この話は俺様が提案した訳じゃねぇ。お前は2年だったな。日吉は知ってるか?」
「同じクラスですけど」
「フンッ、なら話が早い。元はあいつが言い出した事でな、部員の人数はどうにも出来ねぇが…あんなに楽しそうに泳いでる奴等から泳ぐ事を取り上げるのはやめてくれませんかって言われてな」
「ちょ、なにそいつカッコ良すぎかよ!テニス部やべぇな!」
「アーン?俺様率いるテニス部だ。当たり前だろうが」
…え、日吉くんが?
跡部さんの言葉に思わず、夜に忍び込んでプールで泳いでいた時の事を思い出す。
多分、あたしの為だよね。
そんな事を考えているとどうする?と跡部さんに返事を催促されて先輩達の方を見ればいいじゃんいいじゃん!と言わんばかりの顔をしていたので、あたしは先輩達に任せると言ったらなら今日からお前等は一応テニス部だからなと言われた。
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