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04*(4/4)


それにしても、このお食事会(?)にあたしがいる事が未だに理解出来ない。

むしろ、まさかあたしの部屋よりも大きなトイレを使う事になるとは思わなかったよ。

そんな事を思いながら、メイドさん(?)に案内された有り得ないくらい広いトイレで手を洗いながら、ボーッと鏡に映る自分を見つめた。

どう見ても不釣り合いだ。

いや、トイレに不釣り合いもなにもないんだけど…このトイレを使っていいのか不安になるくらいあたしは、普通だ。というか、地味だ。

…とはいっても、使った後なんだけど。

そしてずっとトイレにいる訳にもいかないので、手を拭いてから広過ぎるトイレから広過ぎる廊下へと出た。



「おい」

「?えっ…あ、跡部くんっ…あ、あの…すみません。なんかごめんなさい」

「落ち着け。俺様は、お前に謝られる覚えはねぇぞ」

「い、いや…あたしなんか跡部くん家にいるなんて申し訳なくて…不本意とはいえ、お食事までいただいちゃってるし…ご、ごめんなさい」

「アーン?お前が勝手に付いて来たってんなら問題だが、お前は無理矢理連れて来られた側だろうが」

「…確かに、それは否定しないけど」



そしてまさかの跡部くんが廊下にいた様で、メイドさん(?)に説明された食堂への戻り方を頭の中で思い出していたら…後ろから声を掛けられた。

ゆっくりと振り返るとそこには腕を組んだままあたしを見つめる跡部くんがいて、思わず謝った。だって、跡部くんをこんなに近くで見たの初めてだし…なんかもう色々と凄くて謝った。

そんなあたしに跡部くんは、呆れた様な顔をするとフッと笑った。



「みょうじなまえだったな」

「え?あれ?あたしの名前…」

「アーン?俺様は、全生徒の名前と顔を把握している。それで、まぁ…今更だがジローが迷惑掛けたみてぇだな」

「え、あぁ…まぁ、迷惑というか…なんというか」

「悪い奴じゃねぇんだが、少し周りを見ねぇ奴でな。悪いが、お前にはこれからも迷惑を掛けるだろうから、先に言っとこうと思ってな」

「え、それってどういう意味?」

「アーン?ジローに気に入られてるって自覚はあるんだろ?まぁ、多少はフォローしてやるが…何かあれば言いに来い」



・・・・・。

何を言っているんだろう。
確かに、芥川くんに無駄に気に入られてしまった自覚はある。だけど、何かあったら跡部に言いに行くとかそんな自殺行為する訳がない。

むしろ、跡部くんとこうして話してるどころか跡部くん家に来た事がバレたらと考えると学校が怖くて仕方がない。

そんな事を思いながら、何故か満足そうな顔をして笑っている跡部くんを見上げていると背後から、あーっ!いたC〜!と芥川くんの声が聞こえた。




(なんで跡部がなまえちゃんといるんだC〜!)
(アーン?トイレの帰りに会っただけだ)
(せやから、トイレや言うたやん)
(むぅ〜…。なまえちゃん、早く行こ!)
(えっ…あ、ちょっ、引っ張らなっ…わぁっ)
(ホンマみょうじも大変やなぁ)
(アーン?顔が笑ってんじゃねぇか)
(それよりちゃんと話せたん?)
(アーン?一応な。お前もちゃんとフォローしろよ)
(はいはい。ホンマ跡部はジローに甘いわぁ)
(アーン?)
(まぁ、これで落ち着けばええんやけど)
(それは、みょうじ次第だろ)
(みょうじ、オモロイからなぁ)
(詳しくは知らねぇが、普通だろ)
(いや、つまらん奴やったらジローも気に入らんやろ)

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