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そして放課後になり、部活に向かうともだちに頑張れーと手を振ってからあたしもプールに向かった。
「うへぇ…みょうじがなんだかんだで使ってたから思ったより全然綺麗だな」
「そりゃあ綺麗な方が泳ぐのも気持ちいいですからね。あ、でもタイム記録のファイルぶちまけたんで多分、水でよれよれですよ」
「タイム記録か…でももう必要ねぇからなぁ。悲しいけど処分だな」
「そう言うなって!俺等だって必死に勧誘しただろ!」
「ていうか、テニス部専用になるとか…みんなテニス部テニス部って、ここは水泳部のプールだっつーの」
備品整理をしながら愚痴を溢している先輩達にまぁまぁ!人数不足はどうにもならない事じゃないですか!と言えば、はぁ…と溜め息を吐かれてしまった。
というのも、先輩達も別に実力がない訳じゃない。むしろ、去年はまだギリギリ人数が足りていて、大会にも出ていたんだけど…毎回表彰台に乗るくらいの実力を持っている。
あぁ…活動停止中の間は特に気にしてなかったのに、廃部になって先輩達の泳ぎがもう見れないと思うとなんだか悲しくなるなぁ。
「みょうじ、ごめんな。夏の大会どころか廃部になっちまって…お前、ずっと楽しみにしてたのに」
「正直、大会よりあたしは先輩達ともっと泳ぎたかったです。あたし、先輩達と泳ぐの…本当に好きでした」
「っ…この水泳バカめ!よし、備品整理はすぐに終わりそうだし最後に泳ぐか!」
「待ってました!バッチリ水着は持ってきてるぜ!」
「まぁ、俺は最初から泳ぐつもりだったし。ほら、みょうじも着替えてきな」
あぁ、やっぱり先輩達ともっと一緒に泳ぎたかったなぁ…とつくづく思いつつ、先輩の言葉にコクりと頷き急いで更衣室で水着に着替えて、プールに向かった。
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「へぇ、プール練ねぇ?」
「でも水泳部なかったか?」
「アーン?水泳部は、本日付で廃部になった。だからその水泳部が使っていたプールを俺様達テニス部使う事になった」
「授業で使うプールとは違うんだろ?どんな感じなんだよ」
「ほな、ちょっと見学しに行かへん?廃部っちゅー事は、水泳部の連中は荷物整理しとるんやろ?」
…部活開始のミーティングで跡部部長の口から聞かされたのは水泳部が廃部になり、そのプールを俺等テニス部が使う事になったという事だった。
みょうじは、この事実を受け入れたのだろうか。水泳部事態に執着している感じはしなかったが…テニス部専用となれば今までの様に忍び込んで泳ぐ事は出来なくなる。
そんな事を考えているとレギュラーだけこれからプールを見に行くという事で話がまとまっていた。
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