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そして教室に戻ると忍足くんに笑われた。



「あからさまに匂い対策しとるやん」

「あ、汗かいたから」

「今日は、体育ないやん」

「………………」

「すまんて、そないな顔せんといてぇな」



うん、順調に忍足くんが嫌いになっていく。と言うか、なんであたしは普通に忍足くんと会話をしているんだ。

周りの視線が痛い。
と言うか、怖い。

そしてもう話し掛けないで下さいと願いを込めてあたしは、机に突っ伏してその後の授業を過ごした。


それを感じ取ってくれたのか忍足くんは、その後話し掛けて来ることはなかった。いや、まぁ…ずっと机に突っ伏してたからかもしれないけど。


しかし、それをぶち壊す人物が現れる。



「侑士ーっ!なまえーっ!」

「なんや、岳人いつもより早いやん」

「マジで腹ペコなんだってー!早く学食行こうぜ!なまえも来いよ!教科書のお礼とお詫び奢ってやるぜ!」

「え、あっ…えぇ!?」

「岳人は強引やな〜。ほな、ジローを起こして行こか」

「え、ちょ…」



そして向日くんはあたしの返事も聞かずにあたしの手を引いて廊下を走って行く。

その後ろをゆっくりと忍足くんと芥川くんが歩いて来ていたのが見えたがそれどころじゃなかった。

周りの視線が痛い。
そして怖い(本日2度目)。

そして向日くんに強引にメニューを選ばされてなんやかんやで一緒にテーブルに座っている。ちなみに忍足くんと芥川くんもいる。



「お前、少食なんだな!」

「…え、そうでもないと思うけど」

「ジロー、寝ながら食べるんやない。って、それ俺のや」

「ん〜っ…眠いC〜…(モグモグ)」

「なんつーか、お前って普通だよな」

「…え?」

「いや!悪い意味じゃないぜ?なんつーか、面倒臭くないっつーか。キャーキャーうるさくねぇし」



それは誉めているつもりなのだろうか。まぁ、キャーキャーうるさい奴だと言われても嫌だけど…なんと言うか、複雑な気分である。

あたしは、テニス部の人達は知っていたけど近寄りがたい存在ってだけだったし、何よりファンクラブの子達が怖くてそんな、でしゃばった事なんて出来ない。



「まぁ、仲良くしようぜ!」

「う、うん…」



と言うか、テニス部の人達には悪いけど興味がなかったと言った方が正しかったり。

そして笑顔でそんな事を言う向日くんに嫌だと言えず、咄嗟に頷いてしまった。

と言うか、向日くんの頬にご飯粒がついてるのが気になってそれどころじゃなかった。




(岳人…ご飯粒付いとるで)
(なっ、マジかよ!?)
(みょうじ、わかってたやろ?)
(…いや、なんか言いにくくて)
(クソクソ!言えよな!)
(普通なら付いてるよ?とかやるんちゃう?)
(え、普通やらないと思う…)
(やんなくていいっつーの!)
(ようやって貰っとるやん)
(バカバカ!侑士!)
(う〜ん…岳人うるさいC〜)
(うわ…芥川くん、口の周り酷い)
(みょうじ、拭いてやってくれへん?)
(え…あたしが?)
(なんで嫌そうな顔すんねん…)

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