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とりあえず、周りの視線が痛いので適当に忍足くんに返事をして教室から逃げた。

いや、逃げたかった。
なのに…なのにっ…!



「…うわぁっ!?」

「んっ…俺のだC〜…ぐぅ…」

「…え、はっ?!な、なに!?」

「アカン、寝惚けとる」

「え、な、なにが!?」

「寝てる癖に嗅覚は犬並みやな」



何故か呆れたように笑う忍足くんに助けを求める。なんと、寝ていたはずの芥川くんがあたしに飛び付いて来たのだ。

軽くホラーだ。

むしろ、普通に重たいし。今にも倒れそうなので本当に誰か助けて下さい。

ぷるぷると芥川くんを支えながら踏ん張っているとやっと忍足くんが芥川くんを剥がしてくれた。もうやだ、この人達怖い。



「自分、なんか香水とか使っとる?」

「つ、使ってない」

「ん〜、ほなしゃーないな」

「…え、なにが?」

「なんや、ジローのやつこの膝掛けを気に入った理由が匂いらしくてな」

「…………」

「そんな引いた顔せんでもええやろ」



そんなの引くに決まっている。膝掛けの匂いって…いや、て言うかなんで嗅いだんだ。少しだけ、芥川くんを軽蔑の眼差しで見つめる。

しかも何故、それだけで気に入るんだ。匂いなんてすぐに消えるだろうし、そんなにあたしの体臭はキツいのか。

よくわからないけど、芥川くんを椅子に座らせるとスーパーマンの様に首に巻いた膝掛けを取ると芥川くんに握らせるとまたスヤスヤと寝始める。



「まぁ、みょうじが黙っててほしいみたいやし?俺は言わんとくけど、その内バレるとちゃうん?」

「…な、なにが?」

「さっきみたいにジローは好きなもんとかには鋭いっちゅうか…まぁ、膝掛けの持ち主がみょうじやて気付くって事や」

「違うって言うもん」

「多分、ジローは譲らんと思うけどなー。まぁ、色々気付けや」

「え、なにに?」

「せやから、色々や」



なんか凄く嫌な予感しかしない。

とりあえず、これ以上ここにいると怖いので友達のところに逃げ出した。

友達のところに着くなりあたしは、制汗スプレーを借りてちょっとスプレーしてみた。匂いで判断されているならこれで大丈夫だろう。



「なまえ、なんかあったの?」

「ん、ちょっとね…。てか、あたしって体臭はヤバい?」

「は?いきなりなに言ってんの?別に普通でしょ。なまえは、香水とか使ってないし」

「だ、だよねー」

「え、マジで大丈夫?なんかあったの?」

「ん、大丈夫大丈夫」



まぁ、とりあえず…あたしの体臭がキツい訳じゃないらしいのでそこは安心した。


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