02*空に恋した向日葵(1/4)
な、なんて事でしょう。
あたしは、キャーキャーと騒がれながら登校してきた芥川くんを見て絶句した。
なんと芥川くんは、あたしの膝掛け嬉しそうに首に巻いてスーパーマンの様な格好で登校してきたのだ。
い、いやいやいや…
きっと大丈夫だ。芥川くんは、アレをあたしの物だと気付いてないだろうし。
そんな事を思いつつ今日もあたしは、窓の外を眺めた。
しかし、3限目の休み時間に事件は起こった。現文の教科書がない。と言うか、向日くんから返って来ていない。
これは酷い。
しかし、向日くんのクラスを知らない上に催促に行く勇気もない。なんという事だ。
なので、教師に怒られるの覚悟で授業を受ける事にした。そして現文の授業が始まった。
しかし始まって早々、隣から小さなメモを差し出されて頭を傾げながら隣を向くと口元でシーッとやりながら笑う忍足くんがいた。
そして差し出されたメモに目を通す。
「"もしかして、岳人がまだ教科書返してへんのか?"」
あ、バレてしまった…。
とりあえず、どうしようかと考えていると更にメモになにかを書き加える。
「"俺の貸したるから今日は、これ使っとき"」
そして差し出される現文の教科書。あたしは、ふるふると顔を振るとそれを返す。
いくらなんでも忍足くんに借りるわけにはいかない。と言うか、忍足くんは悪くないし。
「先生。俺、教科書忘れてもぉた」
「ほぉ、忍足にしては珍しいな。なら隣の…芥川はまぁ、放っておくか。みょうじに見せてもらえ」
「ほな、そうするわ。って、事で見せてくれへん?」
「え、あっ…えぇ?」
「
…素直に話し合わせとき」
「あ、はい…どうぞ」
「すまんな、おおきに」
なんだか、勝手に話を進められてしまった。と言うか、なんで芥川くんは放っておくんだ。普通におかしい。
と、今更突っ込んでも遅いのであたしの机に置いてある忍足くんの教科書を開く。
あぁ、なんかよくわからない内に助けられてしまった。
「"そんな困った顔せんでも大丈夫やて"」
「"困ってません"」
「"いや、顔に出とるで。まぁ、岳人には俺から言うといたるよ"」
「"はい"」
「"敬語使わんでええよ?ちゅーか、ジローに膝掛け掛けたん自分やろ?"」
「……っ!?」
忍足くんの文字を見るなり思わずガタンッと立ち上がってしまう。そして自然とあたしに視線が集まり、教師に頭を下げながらゆっくりと座ると忍足くんがクスクスと笑っていた。
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