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01*(3/4)


ハァッ…なんか疲れた。

ちなみに向日くんから教科書が返って来る事は、なかった。いや、別に明日でもいいんだけど…。

そして特に部活に入ってないあたしは、図書室にて読書中である。しかし、なんだか集中が出来ず、早々と帰る事にした。


愛用の膝掛けを丁寧に畳んで、さぁ帰ろうと顔を上げると不意に窓の外に何かがある事に気付いた。


緑の中にポツリと金色が混ざり込んでいる。正確に言うと、中庭で誰かが寝ているのだ。こんな時間に中庭で寝ているとは、一体なにごとなんだろうか。

頭を傾げながら図書室を出て、靴に履き替えてから中庭に向かってみると、やはり誰かが寝ている。

具合でも悪いのだろうか?
ちょっと怖いがゆっくりと芝生に寝転がる人影に近付く。


……あっ、芥川くんだ。


芝生で寝ていたのは、芥川くんだったらしい。気持ち良さそうに寝息をたてながらスヤスヤと眠っている。

アレ?部活は、いいのかな?
よくは、知らないけど…芥川くんもテニス部だよね?もしかして寝過ごしちゃったのかな?


さすがに見てみぬフリも出来ず、芥川くんの体を揺すって起こそうとするがなかなか起きてくれない。

なんという爆睡。
むしろ、本当に寝ているだけなのか疑問に思うレベルで起きてくれない。

しかし、寝息は聞こえてるし…。でも起きてくれない…うん、アレだ。もう仕方がないから帰ろう。


だけど、さすがにこのまま帰るのも少し気が引けたのでカバンから愛用の膝掛けを出して芥川くんに掛けてあげる。


気休めでしかないかもしれないけど、こんな場所で寝ていたら風邪を引いてしまうかもしれない。それに起こしても起きてくれないのなら仕方がない。

しかし、膝掛けを諦めるなに少しだけ躊躇する。愛用してただけあって気に入っている膝掛けだ。

だけど、名前を書いて芥川くんが膝掛けを返して来たら周りになにを言われるかわかったもんじゃない。

う、うん…諦めよう。

ルーズリーフに使ったら捨てて下さいと書いてから風で飛ばない様に適当な石を乗せてその場を去った。


そしてあたしは、帰りに新しい膝掛けを買いに向かったのであった。


あー、あの膝掛け気に入ってたんだけどなぁ…と未練がましく膝掛けの事を思いながら。


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