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そしてみょうじをプールから出して自分もプールから上がるとみょうじがバスタオルを拾うと走ってそれを俺の頭に掛けると更衣室に入って行った。
みょうじのあからさまな態度に失敗したな…と思いつつ、頭に乗ったバスタオルを持って俺も更衣室に向かった。
そして着替えが終わり、玄関で待っているとみょうじが更衣室から出て来る。
「えっ…ま、待ってたんだ」
「悪いか」
「ううん、ありがと」
「また警備員が来ても面倒だ、さっさと帰るぞ」
「そうだねー」
月明かりでうっすらとしかわからないが、冷静に見えて相変わらず頬が赤いみょうじに笑いそうになるのを堪えた。
そしてみょうじといつもの様に一緒に帰っているのはいいが…さっきまで顔を赤くしていたはずのみょうじは、今じゃいつもと変わらない涼しい顔をしている。
むしろ、さっきのキスをなかった事したか、いつも通りのみょうじの態度に驚く。
が、あの反応を見た後という事もありそれもそれで何故か気分が余り良くない。
「っ……日吉くん?なんの真似?」
「なにがだ?」
「…日吉くんってこういうタイプだっけ?」
「嫌なら振りほどけばいい」
「そういう問題かなぁ」
隣を歩いていたみょうじの手を軽く握るとビクッと反応しつつ、バッとこっちを向いたみょうじは少し恥ずかしそうな顔をすると困ったように眉を下げた。
そう言いつつも、手を振り払わないみょうじは優しいのか鈍いのか…まぁ、別にどっちでもいいが。
それにしても、みょうじの言うこういうタイプと言うのはどういうタイプだ。
「今日は家まで送る」
「いや、結構遠いし…いつものところまででいいよ」
「送りたいと言ってもか?」
「…今日の日吉くん、なんか変」
「どこがだ。人の好意を変呼ばわりか」
「そ、そういう意味じゃないけど…日吉くんは部活で疲れてるんだし、早く帰った方がいいよ」
まず、部活終わりにプールに来てる時点でその心配をする必要はない気がするんだがな。
それ今まであえて突っ込まなかったが、この時間に1人で帰すのはどうなんだ?それに本人が言うように遠いなら尚更危ない気がする。
ちなみに家が近いと嘘をついていた事に関しては、既にみょうじから謝罪をされた。まぁ、謝られる事でもないが。
「こんな夜道を1人で帰すのが心配だから送らせてくれと言ってもか?」
「それ断れないやつじゃん」
「断れない様に言ったからな」
「今までそんなの気にしてなかったのに…」
「いいから諦めて送られろ」
「うわー凄い上から目線」
そして諦めたのか本当に遠いのに…と呟きながらもゆっくりと歩き出した。
※家の前にて
(本当に遠いな)
(むぅっ…だから言ったじゃん)
(バスは使わないのか?)
(ん〜時間に合わせるの大変だから)
(この距離を歩いて帰る方が大変だろ)
(ダイエットだよダイエット)
(必要ないだろ)
(ははっ、じゃあ送ってくれてありがと)
(無理矢理、送られただけだろ)
(あはは、でもあんまり思わせ振りな態度はよくないと思うな)
(は?)
(なんでもない!じゃあ気を付けてね!)
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