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子供達と走り回りながら遊んでいる赤也くん達を見ていると、院長があたしの隣に腰を下ろすと優しく笑った。
「わざわざ、来てくれてありがとうね。あんな騒ぎがあって…心配してたんだよ」
「あたしこそ、迷惑掛けちゃってごめんなさい。いっぱい記者が来たみたいだし」
「ふふ、大丈夫さ。今は、見ての通り誰も来ちゃいないからね。それになまえがここで育ったのは事実だからね、逃げたり隠れたりする必要なんてないさね」
「うん、ここがあたしの家だから。だから、みんなに迷惑掛けたくなかったんだ」
「それは電話で何度も聞いたよ。私は、なまえや子供達が元気に笑ってればそれでいいんだ。だから、こうしてなまえの笑顔が見れて嬉しいよ」
結局、あの騒ぎであたしがここの孤児院出だと公になってしまって…記者が殺到した。
ずっと院長とは、連絡をしていたんだけど…あたしがあることないこと言われるからと落ち着くまで来ちゃダメだと言われていて、こうして孤児院に顔を出すのは久し振りだ。
そして赤也くんや先輩達の事は、既に話してあったから一緒に連れて来なさいと言われた訳だ。
「ねぇねぇ!なまえねぇちゃん!」
「ん、どうしたの?」
「なまえねぇちゃんは、赤也にぃちゃんと結婚すんの?」
「えっ…!?」
「うむ。さっきまで本を読み聞かせていたんだが、急にその質問をされて俺からは答えられないと言ったら、本人に聞きに行くと言い出してな」
パタパタと走って来た女の子のまさかの言葉に驚いていると、絵本を持った柳先輩が薄く笑いながら事情を話してくれた。
・・・なるほど。
更に柳先輩が持っている絵本がシンデレラだとわかり、なんとなくどうしてそんな事を聞いてきたのかがわかった。
「赤也にぃちゃんは、王子様なんでしょ?テレビでなまえねぇちゃんの事守ってたの見たよ!」
「うん、王子様だよ」
「じゃあやっぱり結婚するんだ!」
「ふふ、そうなるといいなぁって思ってるよ」
「ならば、今以上に頑張らなきゃならないな。なぁ、赤也?」
「えっ?」
無邪気に笑い掛ける女の子の頭を撫でながらそう答えると、柳先輩が笑いながらあたしの後ろへと問い掛けて…ゆっくりと振り向くと、そこには男の子を肩車した赤也くんと丸井先輩がいた。
しかも、さっきの言葉を聞かれていたらしく赤也くんの顔が赤くて…あたしの顔まで熱くなった。
だけど、やっぱり…赤也くんはあたしの王子様な事には変わりはないので、精一杯の笑顔を向けると恥ずかしそうにあたしが大好きな笑顔を返してくれた。
(全く、見せ付けてくれるぜぃ)
(すーぐ、いちゃいちゃするナリ)
(ちょっと!先輩達、空気読んで下さいよ!)
(いつも読んでやってるだろぃ)
(本当にいい顔をする様になったねぇ)
(そ、そうですか?)
(あぁ。切原くん、これからもなまえを頼むね)
(えっ、あ、はい!もちろんッス!)
(2人は結婚するんだもんねぇ!ね、蓮二にぃちゃん!)
(ふっ、そうだな)
(ほー。結婚式には呼びんしゃい)
(呼ばなかったらシメる)
(あらあら。今から楽しみねぇ)
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