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「はーい!2人は、ナマエちゃんの足元を見る感じで視線下げて〜!」
「
ちょっと…仁王先輩、なまえに近いッスよ」
「
仕事に口出す男は嫌われるぜよ」
「はい、ナマエちゃんはこっちに視線くれるー?あぁ、その表情いいね!」
何故か、仁王先輩と赤也くんに挟まれて撮影をしている。撮影の内容を確認してなかったのが悪いんだけど…、タイプに合わせたファッションというコンセプトで仁王先輩(クール系)と赤也くん(明るい系)のタイプって事らしい。
ちなみに赤也くんをモデルにしようと言い出したのは、椿さんだとの事。まぁ、この雑誌は椿さんの担当らしいから仕方ない…のかな?
それにしても、これだと…三角関係みたいな構図になってるんじゃないかな。いや、ただのタイプ別なだけなんだけど。
とりあえず、仕事だから余計な事は考えずに指示に従うしかないんだけど…仁王先輩と赤也くんがこの雰囲気に呑まれているのか、ギスギスしてる。
いや、仁王先輩の場合は赤也くんをからかってる可能性が高いんだけど。
「はい、いいよ。じゃあ、椿さん次の準備よろしくね!」
「はいはーい。ほら、3人は早く来なさい」
「あ、はい。ほら、2人も…」
「うーす」
「へいへい」
そして次の撮影の為に控え室に着替えに向かうと、部屋に入るなり赤也くんが後ろから覆い被さる様に抱き付いて来て、危うく転びそうになった。
赤也くんの突然の行動にびっくりしつつ、ゆっくりと振り向くとブスーッとした顔をした赤也くんがあたしを見ていた。
ちなみに仁王先輩と椿さんは、そんなあたしと赤也くんをスルーして着替えの準備をしている。もちろん、槙野さんも普通にスルーしてる。
「ど、どうしたの?」
「やっぱりなまえってすげーよなって思って」
「え?」
「仕事ってなると相手が誰とか関係ねぇっつーか。俺が抱き寄せても照れもしねぇじゃん?いつもなら今みたいに恥ずかしがるのに」
「えっ…あ、ごめんね」
「いや、そうじゃなくて。なんか俺って余裕ねぇなぁって思って」
「・・・?なにが?」
てっきり、赤也くんはあたしに対して何か不満があって不機嫌なのかと思ったら…どうやらそうじゃないらしい。
正直、仕事は仕事で感情を割り切ってないと身が持たないので…スイッチが入るとナマエに成りきってしまい赤也くんが相手でも普通に接する事が出来るだけなんだけどなぁ。
「赤也は、ヤキモチ妬きじゃき大変じゃのぅ〜」
「ちょ、仁王先輩!!」
「ヤ、ヤキモチ?」
「っ、あぁ!そうだよ!でもなまえのさっきの態度で安心したっつーか…まぁ、気にすんな!」
「当たり前じゃろ。みょうじはプロなんじゃし、いちいち相手に照れたりしてたら務まらんじゃろ」
「だ、だって!ちょっと心配だったんですもん!恥ずかしそうに笑うなまえとか可愛過ぎるし!」
いや、そのっ…赤也くんのその言葉が恥ずかしいんだけど。
そして、その後の撮影もちょくちょく赤也くんが取り直しをしたけど無事に終わり…この雑誌が発売されて新たに赤也くんが謎のモデル2として取り上げられるのであった。
撮影終了後
(もうテニス部特集しようかしら)
(これ、やめんしゃい)
(イケメン揃いだからいいじゃない)
(そうなったら謎のモデル続出ね)
(俺は、なまえと一緒ならいいッスよ!)
(えっ…ダ、ダメだよ)
(へ?なんで?)
(…赤也くんモテるから、やだ)
(え、それお前がいうの?)
(あ、あたしの場合はまた違うもん!)
(はいはい、いちゃいちゃしないの)
(元は姉貴のせいじゃろ)
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