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そんな俺の元にバスタオルを持ったみょうじがペタペタと走って来るとどうしたの?としゃがみ込むと俺の肩に触れた。
「…いや、なんでもない」
「……?大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
「えっ…あ、ちょっと日吉くんっ…!」
バッとみょうじの手からバスタオルを奪い放り投げるとそのままみょうじの腕を引いてプールに飛び込んだ。
激しい水音と共にプールに飛び込みバサッと顔を上げると続いてみょうじが顔を上げた。
そして驚いた様な顔をして俺を見るとすぐにみょうじが笑い出す。
「はははっ、日吉くん大胆過ぎ」
「既に濡れてたからな」
「だからって普通は、飛び込まないよ。さっき警備の人が来たばっかりなのに…あははっ」
「…笑い過ぎだ」
「ははっ、ごめんごめん…って呑気に浮かんでるし。実は、日吉くん泳ぎたかったの?」
「さぁな」
仰向けになりながら天窓から見える月を見上げていると不意にみょうじが隣に立つと俺を見た。
ぽたぽたとみょうじの髪から落ちる滴が月明かりに照されてキラキラと輝いている。
そんな事を思っているとグイッとみょうじに腕を引かれて、立ち上がると自然とみょうじを見下ろす形になる。
それにしても水の中だとそこまで気にならないが起き上がると張り付いた制服が酷く気持ち悪い。
「日吉くんって変なの」
「お前も大概変なヤツだぞ」
「ははっ、似た者同士みたいな?」
「一緒にするな」
「わぁ、酷い」
「さすがに制服だとまともに泳げないな」
「脱いじゃえ脱いじゃえ」
「断る」
えぇ〜?なんで!と大袈裟に笑うみょうじはそう言いながらも嬉しそうに俺の周りを泳ぐとほらほら〜と俺の手を取ると泳げと言わんばかりに手を引いた。
あぁ、また母さんに制服が濡れた言い訳を考えなきゃならないな。
そんな事を考えながら嬉しそうに俺の手を引いてるみょうじに向かって水を掛けた。
「おい、そろそろ帰るぞ」
「飛び込んだの日吉くんなのに!」
「フッ、知らんな」
「そんな日吉くんはこうして沈めてやる〜」
「そう簡単に沈む訳ないだろ」
「とうっ!!」
「軽いな」
軽い掛け声と共に飛び掛かって来るみょうじを難なく受け止めると必死に体重を掛け様とするが、水のせいでまるで意味をない。
むしろ、軽いくらいだ。
このままじゃれてても無駄なのでそのままみょうじを抱えたまま歩き出すとうわぁ〜なんて言いながらみょうじが暴れ出したので足を止めて顔を上げるとみょうじの顔がうっすらと赤いのがわかった。
…大胆なのはどっちだ。
「…っ、日吉くん顔近っ…ん」
「…次暴れたら落とすぞ」
「っ、…は、はい」
…あぁ、やっぱり今日の俺はどこかおかしいのかもしれない。
頬をうっすらと赤く染めて恥ずかしそうに眉を下げているみょうじが可愛くて思わずキスするなんて…本格的におかしい。
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