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今まで、恋愛なんてドラマの中の役でしかした事がなかったし。元々、あんまり人付き合いが得意じゃないあたしには無縁なものだと思ってた。
好きだから、ずっと一緒にいたいとか…今すぐ会いたいだとか…あたしには、よくわからない感情だった。
でも…今は、わかる。
「…?な、なんだよ?」
「あたしも切原くんが好き、です…」
「・・・へっ?えぇっ!?マジで!?」
「た、多分…」
「ぶふぅっ!」
「ククッ」
「ふっ…」
「あらあら…」
「え、はっ!?多分ってなんだよ!?」
一瞬、あたしの言葉にパァッと嬉しそうな顔をしてグイッと近付いて来た切原くんに…咄嗟に多分と言ってしまうと、途端に切原くんの顔から笑顔が消えてしまい必死に自分がまともに恋愛をした事がない事…でも切原くんと一緒にいたいとか会いたいなって思うんだ…と説明すると何故か顔を真っ赤にして切原くんが黙ってしまった。
・・・えと、間違った事は言ってないと思うんだけど。
自分がなにか変な事を言ってしまったのかと、ドラマの中で演じたヒロインを思い出して必死に自分の想いを伝える言葉を考えたけど…どうにもこうにもこういう時に限って言葉が出て来ず、ただ自分の気持ちを口に出した。
「あ、あたしは…切原くんが好きだから…えと、一緒にいたいとか会いたいって思うだと思ったんだけど…ち、違うのかな?」
「ち、違わねぇよ!!」
「うわぁっ…!」
「…お前、本当は女優のナマエじゃねぇだろ…マジで。いや、これが演技ならお手上げだけどよ」
「き、切原くんっ…」
「俺は、お前と付き合ってるって堂々と自慢するからな!いいんだな?」
「えっ…う、うん?」
急に抱き締められたかと思ったら、今度はあたしの肩を掴むと真剣な顔をしてそんな事を聞いてくる切原くんに混乱しつつ頷くと切原くんがガッツポーズをするといきなり携帯を取り出して、あたしの肩を抱くと写真を撮った。
意味がわからず、おろおろとしていると後ろの席から柳先輩に心配するなと笑われてしまい、とりあえず切原くんの行動を見ていたら今度は切原くんの携帯が鳴り出してビクリと肩が跳ねた。
そしてその電話に出ると嬉しそうにあたしの方を見る切原くんに更に頭を傾げる。
「おう!成し遂げた!!」
「ふふっ、移動先が変わりそうね」
「え、槙野さん…どういう意っ…わぁっ」
「だから寿司と焼肉の準備しといてくれよ!みょうじも連れて行く!マネージャーさん、俺ん家までよろしくッス!」
「えっ…切原くん?」
「ふふ、了解したわ」
そして嬉しそうに電話を切った切原くんがあたしにいつも笑顔を向けたかと思ったら、唇に柔らかい感触がしてそのまま切原くんに抱き締められた。
その直後、仁王先輩と柳先輩に何か怒られていた様子だったけど…恥ずかしいやら嬉しいやらで切原くんの胸の中でただ黙っていた。
(少しは、場所を考えんしゃい!)
(全く…先が思いやられるな)
(いいじゃない、そのくらい)
(姉貴は黙ってんしゃい)
(いや、ずっとしたかったんでつい!)
(つい!じゃないじゃろ…)
(ふふっ、なまえ〜?大丈夫?)
(だ、大丈夫…です)
(え、顔真っ赤じゃん!大丈夫かよ!?)
(赤也、嬉しいのはわかるが…少し落ち着け)
(え、無理ッス!)
(き、切原くん…あたし、恥ずかしい…)
(お前が可愛過ぎんのが悪い)
(えっ…えぇ?)
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