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…ん、みょうじが俺の名前を呼んでたって事だよな?そんなに気にしてたのかよ。まぁ、確かに急に連絡が取れなくなってかなり心配はしたけどさ。
「マネージャーさんとやら、1つ聞いてもいいかのぅ?」
「えぇ、なにかしら?」
「湖にナマエが携帯を落としたんはわかった。じゃが、みょうじは赤也とギリギリまで連絡しとったんじゃが、なんかの拍子に落としたんか?俺の記憶が正しければみょうじは両手でしっかりと携帯を持って操作しとったはずじゃが」
「え?」
「相変わらず、あんたは嫌なとこに気付くわねぇ。槙野も諦めて話しちゃえば?」
「…ナマエが携帯を落としたと言うのは少し違うのよ。本当は共演者に携帯を取られたみたいで、それを取り返そうとしたらその人が携帯を落としてしまったらしくて…」
・・・は?
それじゃあみょうじは、なんも悪くねぇじゃん。みょうじから携帯を取ったやつのせいでみょうじは湖に落ちるはめになったって事じゃんか。
思わず、その共演者って誰なんだよと身を乗り出して言いそうになった…が、隣に座ってた柳先輩にスッと手を出されて制止させされた。
「まぁ、十中八九Ryoとかいう俳優じゃろ。あやつの良くない噂はそれなりに聞いとる」
「あぁ…まぁ、うん。あんたは、ねぇ…前に私がモデル頼んだりしたしねぇ」
「・・・警戒はしていたのよ。事務所的にも無駄に絡むのはNGって事前に説明した。だけど、そんなの無視って感じだったのよね…」
「なるほど、仁王の心配は当たっていた…と言うことか」
「…どういう事ッスか?」
「スキャンダル狙いぜよ。湖に落ちたんは予想外かもしれんが、既にナマエとRyoがデキとると報道陣は思っとる」
ぶんっと助手席から飛んで来た雑誌をキャッチすると付箋がしてあるページを見ると、女優ナマエと人気俳優Ryoがドラマ共演で急接近!?という見出しが目に入った。
その記事には確かにみょうじとRyoって奴がすげぇ至近距離で仲良さそうにしてる写真が載ってて、もやもやとした気持ちになって思わず雑誌を強く握ってしまった。
そんな俺に柳先輩がスッと雑誌を取り上げるとフッと笑うと雑誌を閉じた。
「フッ、それで俺等を連れて行くとは、なかなかの博打をするな。仁王?」
「元からあやつは好かん。それに急接近でスキャンダルされるなら赤也の方がしっくり来るぜよ」
「…え?はっ!?どういう事ッスか!?」
「あんたは、本当にとんでもない事考え付くわね。いや、まぁ…止めはしないけど。でもなんだったらあんたが変わってあげれば?この子、普通の子でしょ」
「それじゃ意味ないじゃろ」
先輩達の会話にまるで付いていけない俺は、なにがなんだかわからずただ隣で薄く笑っている柳先輩にどういう事ッスか?と聞く事しか出来なかった。
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