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そしてあの日からみょうじの返事が来なくなって丸2日が経った。

さすがに心配になって電話をしても電源が入ってなくて、タイミングが悪いのかと思ったけどトークもずっと既読にならないままで…本気で何かあったのかと不安になって来た。

それでも部活はある訳で…後で柳先輩と仁王先輩に今日もみょうじから連絡がない事を言おうと思ってたら、俺を見るなり柳先輩がこっちに来いと手招きしたので頭を傾げながら後を付いていった。

そして部室から少し離れたところで足を止めた柳先輩がゆっくりと振り返った。



「今朝、ニュースは見たか?」

「…へっ?ニュース?俺、朝はテレビ見る暇ないっつーか…」

「…そうだろうと思っていた。今から話す事は、今朝のニュースで報道されていた事だ。落ち着いて聞け」

「え?はい」

「昨晩、みょうじ…女優のナマエが緊急入院したそうだ」

「・・・は?」

「詳しい事はまだわからないがドラマの撮影後に倒れ、緊急搬送されたらしい」



珍しく険しい表情をしながら静かに俺にそう言う柳先輩に目を見開く。

みょうじが…倒れた?そんで病院に運ばれて、入院した?

いや、でも…連絡が取れなくなったのは2日前からだし…え?なんだ?なにがどうなってんだ?倒れたのが2日前ならまだわかるけど…昨日なんだよな?

柳先輩の話を聞いても、頭が悪い俺はただみょうじが倒れたって事しかわからず、どうしていいかわからなかった。



「ここからは、あくまで俺の推測だが…みょうじはずっと体調が優れず、連絡を返す余裕がなかったんじゃないかと思っている」

「え?」

「電話をしながら寝落ちをしたと言っていただろう。今まで眠くても寝落ちした事がなかったというのを考えると、やはりかなり疲れていたんじゃないかと思われる」

「…眠いって言う事は結構あったけど、確かに寝落ちはこの間が初めてだったッス…」

「そしてその翌日の昼間から連絡が取れなくなった」

「で、でも…!朝は、元気そうにトーク返って来てたし。それに返事が来なくなるまで普通にトークしてたんスよ?」

「だから、あくまで俺の推測だ。それにみょうじの性格を考えると、仮に体調が優れなかったとしても無理にでも返事を寄越す可能性の方が高いからな」



余りに情報が少な過ぎてな…と申し訳なさそうに眉を下げる柳先輩にギュッと拳を強く握る事しか出来なかった。

柳先輩は、なにも悪くねぇし。むしろ、なんも知らねぇ俺にもしもの話までしてくれた。

だけど、どうにもこうにもわからない事だらけで…ただ、みょうじが無事でいてくれればと思った。





(そう不安そうな顔をするな)
(でもっ…全然連絡取れねぇし)
(仁王が少し裏で動いてくれている様だ)
(え…?仁王先輩が?)
(あぁ、コネがあるそうだ)
(コネッスか?)
(それに仁王も心配していたからな)
(・・・・・)
(ちなみにみょうじと赤也のな)
(えっ…お、俺ッスか!?)
(みょうじになにかあって赤也に騒がれても困るぜよ…だそうだ)
(さ、騒がねぇッスよ!)
(まぁ、今は待つしかない)

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