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今日も相変わらず、みょうじと真っ暗なプールで他愛のない会話をしながら俺はみょうじの泳ぎを見ていた。

その時だったチラリとなにか灯りが見えた様な気がした。

勘違いだと思いつつもゆっくりとプールに入り相変わらず泳いでるみょうじの元に駆け寄ると何かを察知したのかみょうじがゆっくりとプールから上がる。

その瞬間、ガシャガシャと玄関の方から音がしてパッとみょうじが俺の腕を掴むと窓をゆっくりと開けるとそのまま走り出す。

そしてゆっくりと掃除ロッカーを開けると俺を押し込む。



「日吉くんはここに隠れてて」

「…みょうじは?」

「…大丈夫。あたしは、見付かっても水泳部は元から廃部みたいなもんだから」

「…………」

「わっ…ちょ、日吉くんっ…」

「…静かにしろ」



さすがにこのまま俺だけ隠れる訳にはいかない。グイッとみょうじの腕を引いてそのまま抱き寄せてロッカーを閉めると暫くしてドアの開く音がして、ロッカーの隙間から僅かに灯りが見える。

そして暫く灯りが周りを行ったり来たりして、さっきみょうじが開けた窓に気付いたらしくなんだ窓が開いてたからか…なんて独り言を言いながら窓を閉めるとそのままプールから出て行った。

そしてガチャガチャと鍵を掛ける音がして一先ず安心した。



「…ひ、日吉くん」

「なんだよ」

「あ、ありがとう…でもそろそろ離して欲しいかな」

「…っ、悪い」

「ううん…ありがと」



ゆっくりとロッカーを開けてみょうじが俺から離れると先程開けた窓から外を見渡すとゆっくりと戻って来る。

とりあえず、俺が来るようになってから玄関の鍵は掛ける様に言っといた上に靴は隠してあったのでバレずに済んだようだ。

それにみょうじが咄嗟に窓を開けたお蔭で無駄に詮索されずに済んだ。



「ごめんね。あたしのせいで制服濡らしちゃったし」

「別に気にしてない」

「…とりあえず、着替えて帰ろうか」

「あぁ」

「あ、バスタオル持ってくるね」



すまなそうにそう言いながらペタペタと走って行くみょうじを見つめつつ、咄嗟とはいえ…みょうじを抱き寄せた事が恥ずかしくなってきた。

それにびしょ濡れのみょうじを抱き締めたせいで制服が濡れて冷たくなっているが…それ以上に体が熱い。

今まで意識して見た事はなかったが…みょうじは水着な訳で、冷静になった今になって抱き締めてたみょうじの体の感覚が鮮明に思い出され、思わずその場に座り込む。


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