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そして着いたのは、テニスコートの近くにあったテントだった。そこには、立海のテニス部ジャージを着た人と練習試合をしていた水色のテニス部ジャージを着ている人達がベンチに座りながら休んでいた。



「随分と遅かったね。なにかあったのかい?…あれ?その子は?」

「彼女は、仁王の従姉妹でユリと言うらしい。どうやら、仁王に会いに来たのだが迷ってしまったらしく、立海ジャージを着ていた赤也を見付けて声を掛けたらしい」

「そんで赤也に呼ばれたって事ナリ。まぁ、邪魔にはならんじゃろうから置いといてくれんか?」

「へぇ、仁王の従姉妹かぁ。確かに、ちょっと似てるね。まぁ、別にいるくらい問題ないよ」

「ほれ、挨拶しんしゃい」



そう言いながらトンッとあたしの背中を軽く叩く仁王先輩に…ユリです。よろしくお願いしますと仁王先輩と柳先輩の話を合わせる様に頭を下げた。

本当に仁王先輩の従姉妹って事にするんだ。しかも名前まで考えていたのなら教えておいて欲しかった。それならもう少しすんなりと話に合わせられたのに。

いや、でも余計な事を話せないから仁王先輩や柳先輩に話してもらった方が安全なのかな。



「え、仁王の従姉妹?うわ、可愛いだろぃ」

「これ、ブンちゃん。こやつかなりの人見知りじゃき、あんまり構わんでやってくれ」

「マジで?勿体ねぇな。つーか、仁王の応援に来たって事は仲良いんだな」

「まぁ、こやつは妹みたいなもんじゃし。今日、暇じゃったから観に来たんじゃと」

「へぇ?ま、キャーキャー騒がしくねぇならいいんじゃね。ま、シクヨロ!」

「よ、よろしくお願いします」



とりあえず、目元でピースをしながらウインクをする赤髪の先輩に小さく頭を下げると何故かジーっと顔を見つめられて、思わず隣にいた仁王先輩の背中に隠れる。

さすがにジッと見られるのは怖い。それに仁王先輩達の設定ではかなりの人見知りということだから、このくらいの反応をしても大丈夫だと…思う。

そんなあたしに仁王先輩がクツクツと笑いながらぽんぽんと頭を撫でてくれて、どうやら大丈夫だったみたいで安心した。



「これブンちゃん、人見知りじゃって言うたじゃろ。怖がらせんでくれ、逃げ出したら面倒じゃき」

「わ、わりぃわりぃ!いや、マジで顔は仁王に似てんのになんか雰囲気とか似てねぇから違和感が凄くてよ」

「ふふふ、ユリちゃんだっけ?丸井が怖がらせてごめんね。まぁ、何かあれば声を掛けてくれればいいから」

「あ、はい」



そう言いながらふわりと笑う藍色の髪をした先輩にコクりと頷くと本当に雰囲気は仁王に似てないねなんて言いながら笑った。

そして、なんだかんだ仁王先輩と柳先輩のお蔭なのか必要以上に話し掛けて来る人はいなくて、切原くんの試合をゆっくりと観る事が出来た。




赤也・仁王VS向日・日吉
(赤也、見られとるぜよ)
(わ、わかってますよ!!)
(カッコイイところ見せんとな)
(わかってるッスよ!)
(ククッ、誰も赤也のカッコイイところとは言っとらんぜよ?)
(ちょ、仁王先輩!!)
(なーに騒いでんだあいつ等?)
(さぁ?仁王さんが切原をからかってるだけじゃないですか?)
(まぁ、仁王だしなぁー)
(なんか手振ってますよ)
(あぁ、なんか仁王の従姉妹だっけ?)
(らしいですね)
(切原も手振ってんじゃん)

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