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なんだかよくわからないけど…仁王先輩が言った通り、何やら不貞腐れている切原くんはあぁーもうっ!なんて言いながら寝っ転がってしまった。
確かに、さっきまで仁王先輩がいたけど…今は、あたしと切原くんだけなのに何がそんなに嫌なんだろう。あたしと2人で話がしたいなら今は、普通に2人なのに。
それにあたしをサボりに誘うくらいだから、重大な話があったんじゃないのかな?
「えと、切原くん?」
「…なんだよ」
「あたしに何か話があるから一緒にサボろうって言ってくれたんじゃないの?」
「特に話してぇ事はねぇけど!学校だと教室とかだとまともに話せねぇし、メールだと物足りねぇっつーか…」
「!!…そっか、ありがとう。あたしも切原くんとお話ししたい」
「…なんの話すんだよ」
「えーと、趣味とか特技とか?」
かなり在り来たりな質問になってしまったけど、あたしの言葉に寝っ転がっていた切原くんが勢いよく起き上がりジッとあたしを見るとお前も答えろよと言うと、趣味も特技も両方テニスと答えた。
やっぱりテニス部なだけあって、テニスが好きみたいだ。噂でしか聞いた事はないけど、かなり練習はハードらしいし…テニスが好きじゃないと続けられないよね。
「あたしは、趣味は読書で特技は寝かし付けるのが上手い…事くらいかな?」
「読書はわかるけどよ、寝かし付けるって誰を?」
「小さい子とか…あたし、たまに孤児院に行ってるから」
「へぇ、小さい子とか好きなんだ」
「…うん。保育士になりたいって思うくらいには好きだよ」
「なぁ、今度俺も行ってみてぇんだけど連れてってくんね?」
「えっ、…どうかな。後で院長に聞いてみるね」
「おう」
切原くんのまさかの申し出にちょっとビックリする。もしかして、切原くんも小さい子が好きなのかな…?それともただの興味本意で言っただけなのかな。
でもどっちにしろ孤児院に一緒に行くなら院長に許可貰ってからにしなくちゃだ。あたしだけなら問題ないけど…切原くんは、あたしが女優だって知ってるし。
…なんだろう、やっぱりあたしが女優だから気になるだけなのかな。そうなら、ちょっと悲しい気はするけど…今まで関わった事はないし興味を持たれても仕方ないよね。
「あ、そうだ!今日は、仕事あんのか?」
「今日はないよ。どうして?」
「あぁ…なんつーか、みょうじが嫌じゃなかったらまた一緒に帰んね?」
「でも切原くん、部活だよね?」
「だから嫌じゃなかったらって言ったんだよ。待たせんのわりぃし、無理ならいい」
「待つのは苦じゃないから大丈夫だけど、どうして?」
「…みょうじの事、もっと知りてぇから。確かに最初は女優だからって興味持ったけど、今はそういんじゃなくて…なんつーか仲良くしてぇ」
あ、あたしと仲良く…?
照れ臭そうに頬を掻きながら視線をさ迷わせてる切原くんは、どう見ても嘘を言っている様には見えない。
しかも女優だから興味を持ったって素直に言ってるし、むしろ女優だから仲良くするとかじゃないんだ。
そう思ったら、なんだか凄く嬉しくてあたしも切原くんと一緒に帰りたいと言葉に出していた。
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