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パチクリと瞬きをして何がなんだかわからないと言った様子のみょうじに仁王先輩がチラリと奪った眼鏡を見せるとみょうじの顔が赤くなった。



「か、返して下さい!」

「変装しとるくらいじゃから、多少化粧なんかで誤魔化しとるんかと思っとったが…お前さん素っぴんか」

「め、目立ちたくないので…」

「甘いナリ。肌の色が違うだけでかなり印象は変わるし、多少顔が似てても誤魔化せるんじゃよ」

「ふっ、仁王の変装講座が始まったところで…今更だが、一応自己紹介をしておこう。テニス部3年、柳蓮二だ。秘密を知ってしまった以上、何か困った事があれば言ってくれて構わない。仁王、お前もだ」

「ピヨッ。テニス部3年、仁王雅治じゃ。変装の事なら教えちゃるよ」



柳先輩の自己紹介に続き、みょうじのだて眼鏡を掛けながら適当な自己紹介をする仁王先輩。そんな2人に少しだけ驚いた表情をしたみょうじだったが、軽く頭を下げると2年のみょうじなまえですと答えた。

いや、なんだこの状況?
つーか、みょうじは先輩達を知らなかったとかそういう感じ?え、そんな女子いんの?ましてや、あの柳先輩と仁王先輩を知らないとかヤバすぎだろ。

そんな事を思っていたら、柳先輩が余り長居をさせるのもアレだからなとみょうじに何かあれば連絡してくれて構わないと小さなメモを渡した。



「ん、なら俺のも登録しときんしゃい」

「え、あっ…はい」

「ふっ、そんなに俺等が連絡先を教えるのが不思議か」

「先輩方が騒がれているのは知っているので…」

「なに、お前が俺達の連絡先を横流しする心配がないからだ。信用の証と思ってくれていい」

「え、えぇっ!?ちょ、なにナチュラルに連絡先交換してるんスか!特に仁王先輩!」

「なんじゃ、別にいいじゃろ。減るもんじゃなし」

「減るッスよ!てか、このやり取り前にもやった!!」



いやいやいや!なんで普通に先輩達と連絡先交換してんだよ!てか、柳先輩と仁王先輩が女子に連絡先教えるとかマジで何事だよ!しかも自分からとか!

いくら、みょうじが女優だからってなんか扱い違い過ぎね?それともなんか他に理由でもあんのか?そんな事を思ってる内にじゃあ失礼しますとみょうじが言って、またね切原くんと小さく俺に手を振って部室から去って行った。

と、思ったら凄い勢いでみょうじが戻って来てビビった。





(め、眼鏡返して下さい)
(ククッ、お前さんいつか絶対にバレるぜよ)
(だ、大丈夫ですっ!)
(仁王、返してやれ)
(はいはい。ほれ、ちゃんと掛けんしゃい)
(あ、みょうじも一緒に帰らね?)
(うむ、もうほとんど生徒はいないから大丈夫だろう)
(い、いえっ…いいです)
(そう言うなって!一緒に帰ろうぜ!)
(もし見られても俺がフォローしちゃるよ)
(うむ。情報操作等、造作もない)
(ほら、先輩達もいるから大丈夫だって!)
((…だから怖いんだけど))

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