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みょうじにとって孤児院が何よりも大事なのは、わかった。つーか、そんな重大な事とは知らず軽々しく聞いちまった罪悪感を感じているのか珍しく柳先輩が黙ってるし。
とりあえず、ふるふると肩を震わせながら必死に頭を下げたままのなまえに近付き、ポンッと頭に手を置いた。
「だーかーら!言わねぇって言ってんだろ!つーか、女優の事もバラさねぇって約束したのに簡単に破る訳ねぇじゃん」
「き、切原くん…」
「まぁ、赤也は口が軽そうじゃき信用出来んのは仕方ないじゃろ」
「ちょ、酷いッス!」
「すまないな。お前の気持ちを考えず、無神経な事を聞いてしまった。ただ、俺達はお前の正体を知っているからといって利用したり強請ったりはしない。ましてや、バラしたりしない。そこは約束しよう」
「…どうしてですか?」
「厚かましいと思うかも知れないが、テニス部と言うだけで騒がれている身だ。多少は気持ちがわかる」
流石に本物の芸能人には敵わねぇけど、確かに騒がれてるしな。特に先輩達は、テニス雑誌どころかモデルのスカウトとかあるみぇだし。まぁ、俺はモデルとか無縁だし興味ねぇけど。
んで、そんな柳先輩の言葉にポカンとしているみょうじにまぁ、そんな思い詰めんなよ!と頭をポンポンッと軽く撫でると何故か泣き出してバッと両手を上げて、みょうじから離れる。
え、いやいやいや!なんで泣くんだよ!?はっ?おかしくね!?むしろ、ここはありがとうって笑うとこじゃね!?
「赤也が女の子泣かしたナリ」
「うむ、これは問題だな」
「えっ、ちょ、ええっ!?ち、違うッスよ!おい、ちょ、みょうじ!なんで泣くんだよ!」
「っ…ご、ごめんなさい。ありがとう…」
「じゃが、1つ言わせて貰っていいかのぅ?」
「は、はい…」
「お前さん、変装が雑過ぎじゃ。そんなんじゃ、いつかバレるぜよ」
そんな事を言いながら必死に涙を拭っているみょうじに仁王先輩がツカツカと近付いたかと思ったら、みょうじの眼鏡とヘアゴムをなんの躊躇もなく奪い取った。
咄嗟の事でみょうじも反応出来なかったのか、ヘアゴムで結ってあった髪が解かれてサラリと揺れた。
・・・・・。
お、おぉ…マ、マジかよ。
ちょっと待て待て待て!眼鏡取った顔をまじまじと見てなかったから気付かなかったけど、普通に女優のナマエより素のみょうじの方が可愛いんだけど!!女優のナマエは、茶髪だし!なんかもっと大人っぽい感じだった気がするし!いや、顔は女優のナマエなんだけどさ!
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